国内と海外のどちらでも活躍できる人もいれば国内でしか活躍できない人もいる『グローバルマネージャーの育成と評価』(白木 三秀)

 

グローバル人材の定義、必要とされるコンピテンシーに話は続いたうえでローカルスタッフから日本人に対してイマイチだったと思われる点など実際に日本企業と一緒に調査したうえで出てきた結果は興味深い。

グローバル人材とは?

この本で出てくるグローバル人材の定義はこちら。

グローバル化が進展している世界の中で、多様な人々と共に仕事をし、活躍できる人材

一応、トレーニーとして1年間働いてきた自分はどうなのかと考える。一般的な日本人会社員と比べると英語も話せるようになって、新しい環境へ適用するスピードもそんなに悪くない。でも、タイで一緒に働いた世界のいろんな場所を渡り歩いてきた人には全然届かない現実もある。

「多様な人々と共に仕事をし、活躍」するために何が大切なのかは次に海外に行くときには考えないといけないっすわ。

グローバル・コンピテンシーとは?

最近はそこまで重要視されなくなったけど、人を評価するうえでコンピテンシーは用いられる。ランクを決める際にも使えるけど、グローバル人材にもコンピテンシーがあるというのはうなずける。

いくつか紹介されているけど、これだなぁとしっくりきたのはこちらの4つ。

第1因子:経営管理コンピテンシー、第2因子:チームマネジメント・コンピテンシー、第3因子:調整コンピテンシー、第4因子:多様性受容力

海外で任されるポジションによってどの因子が大切なのかは変わってくるだろうけど、上に行けば行くほど数字の小さな因子が、メンバーに近ければ近いほど数字の大きな因子が重要になっていくのかな。

エンプロイアビリティのパラドックス

海外だけでなく、国内でも言える話でなるほどなぁと思ったお話があるのでこちらもご紹介させていただく。労働市場における自分の市場価値のことをエンプロイアビリティと定義し、それを高めてくれる会社に労働者は働く傾向が高まっている。

上司は人材流出につながる可能性があるからエンプロイアビリティを高める施策に積極的ではないけど、自分自身のエンプロイアビリティを高めることには熱心であるという事実をパラドックスとしている。自分がされて嬉しいことは人にしなさいじゃないけど、これからはエンプロイアビリティを高める施策をする会社に人が集まり、高め続けることが人材の流出を防ぐことにもつながっていくという話がある。

なるほどなぁと思ったお話のもう1つに異文化適応曲線の話がある。異文化に触れた際にどんな流れで適用していくのかを「初期ショック」、「ハネムーン期」、「移行期ショック」、「安定期」の4つにわけるU字曲線仮説や帰国後の自文化での再適用過程も含めたW時曲線仮説なんかも紹介されていて、どこかで使えそうだったりする。

グローバル人材になるではなくて、当たり前には…

特定の人をグローバル人材として育てるやり方がこれからの時代に合っているのかという1つの疑問がある。これだけ人が流動化している中で一部の人だけが海外に出ていくことでいいのかと思うこともあるけど、日本の中でそこそこ経済が回っていてその中で暮らすのが幸せであればそのまま生き続ければいいのかもしれない。

大企業の中で海外で働くためにどんなスキルが必要で、出ていった際にどんな困難が待ち受けているのかを理論として知っていくためにこの本は参考になる。

【手に入れたきっかけ】

著者の方が主催している勉強会に参加する事があり、気になって購入

【オススメ度】

★★★★☆

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小檜山 歩

コンサルタント日系総合コンサルティングファーム
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。
小檜山 歩
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。