イギリスの託児所と社会の現実となにか『子どもたちの階級闘争――ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(ブレイディみかこ)

理想と現実を対比することは多いけど、理想ではなくて現実を通してなにかを見つめ直させるような内容になっている。

イギリスで保育士をしている物書きが2015年から2016年と2008年から2010年までの間に託児所で起こったことを背景も踏まえて赤裸々に書いていく。

英語の発音によってはっきりと出自がわかる国というのは日本と比べると驚かされる。日本であればどんなにお金持ちの人と話すことがあっても言葉の使い方や発音が大きく異なるとうことは感じることが少ないだろう(余談だが、学生時代に皇室の若い方と話すことがあったけど、丁寧な話し方ということ以上に階級の違いを感じることはなかった)。

イギリスの中に確実にある外国人は差別しないけど、チャヴ(ガラの悪い若者)と呼ばれる人たちは差別をしてもよいという偏ったポリコレや子どもへの格差遺伝が顕著であるという「ソーシャルアパルトヘイト」などの社会で話題になった現象が綴られていく。

解決することが難しいのは当然でなすがままの中でも教育が「セルフ・リスペクト」のために何ができるのかというのも触れられているのが教育の価値を否が応でも感じさせる。日本の保育園の現場との違いも触れられてなるほどなぁと日本の教育にこれが足りていないのかもなぁと思わせる話もある。

イギリスの社会を現場から伝えることで自分の身の回りで起こっている歪みに気づかせてくれる一冊。

【手に入れたきっかけ】

ラジオに出ているのを聞いて気になって

【オススメ度】

★★★★☆

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小檜山 歩

コンサルタント日系総合コンサルティングファーム
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。
小檜山 歩
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。