野球の物語だったらどんな物語でも楽しめるのは小学校から中学校と合計約9年間を野球をやって過ごしてきたからなんだろう。
夢を夢から現実に軌道修正する小学校3・4年を過ぎてもプロ野球選手になりたいと想い続けていた自分は小学校6年生の時に人生で初めて柵越えのホームランを打たれ、プロ野球選手にはなれないとぼんやり思い、とてつもなく厳しい野球部の顧問の先生が中学二年生に上がるタイミングで他の学校に転任したことをきっかけにそこまで野球に取り組まなくなった頃から学校の先生が夢と書き始めた。
ただ、子供の頃から野球に夢中で今でも高校野球漫画「おおきく振りかぶって」を買い続けている自分が一番好きなスポーツは野球なんだろう。サッカーも好きだけど、一番をあげろと言われたらいろんな事を含めて野球をあげる。
だからこそ、野球の小説はたいがい楽しめるし、速いスピードで読んで爽快な気分になる。マンガのような展開であっても満足できる。それが野球だからとひとくくりにしてしまえるのも野球好きだからなのかもしれない。
この本のエンディングもまさにマンガのようなゲームセットが待っている。でも、野球だから全然気にならない。清々しいぐらいに心に入ってくる。
引退間際の同期のキャッチャーとピッチャーの物語。一軍と二軍を行った来たりだったキャッチャーの樋口と常にチームのエースとしてマウンドに立ち続けてきた真田。若いころの出来事で試合でバッテリーを組むことはなかったけど、同じチームでは唯一同期で現役選手の2人は否が応でも意識する。
引退が近づきつつあることを意識し始めた2人に引退の花道として野球の神様はマンガのような展開を見せてくれる。2人は十数年の壁を破ってバッテリーを組むことになるのか。そして、引退の道を2人はどう歩むのか。
プロ野球という描きつくされているのかもしれない世界をあたかも2人の側で取材しているような気分で読み進めることが出来る人物描写と風景描写は野球好きならずとも楽しめる。
野球を通して描くおじさん2人の最後のきらめきはマンガのヒーローのように光る。野球好きに爽快な小説はないかと聞かれたらおすすめできる小説。
【引用】
「誰かに必要とされてるってのは、大事なことなんだぜ。それに気づくのは、不用品になってからだったりするもんだ。それじゃ寂しいだろうが」
ピッチャーという人種には、ある資質が抜け落ちているのだ。謙虚さ。
データの先にある「何か」の存在を信じていた。「一流」と「超一流」を分けるもの、それはやはり、技術という枠では語り切れない何かなのだ。
そして俺たちの野球は明日も続く。場所や形が変わったとしても。
【手に入れたきっかけ】
KIndleキャンペーン!
【オススメ度】
★★★★★
小檜山 歩
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