桜蔭→東大→司法試験合格→エリトリア法務省でお仕事→Human Rights Watch(アメリカ)でお仕事→Human Rights Watch 日本オフィス立ち上げ
この経歴はただのエリートで、成功者。確かにそう。でも、そうじゃない部分もある。
人権にぞっこんになり、人権を守る仕事につき、人権を守る世界的団体の日本オフィスを作った土井香苗さんの本。幼少期から今までの道のりが「自己形成期」・「転換期」・「充実期」・「飛躍期」の4つに分けて書かれています。
時系列に淡々と書いていくので読み物として文章が面白いかどうかという観点では、そこまで高いポイントはつかない。ただ、日本人の両親から生まれ、紆余曲折あり、世界に名だたる団体の日本支部を作った。そんな人がいて、その人生が事細かに書かれているのであれば、読んでいいと思いますよね。
起こったことだけではなく、心の中も文字として起こされている。輝いている道だけでなく、親との不仲という書きにくいことまで。最初からやりたいことだけが出来た子どもではなかった土井さん。
むしろ、親との関係の中で、復讐のために勉強し、好きだったことをやめさせられたりまでしている。でも、その限られたものの中で努力し、今の土井さんがいる。確かに地頭も良かったんだろう。桜蔭に入った記述がかなりあっさりしていることからもそう思う。
地頭が良い人、桜蔭を出ている人はたくさんいる。ただ、その中で努力し続けた。やりたいことばっかり出来たわけではないけど、目の前のことをしっかりやれば自分のやりたいことに出会い、突きつめられるようになるんだ、というメッセージが淡々とした文章だからこそ、伝わってきた。
国際系の勉強をしている女性にはアイドルで、そんな人が読むんだろうけど、いわゆる「フツー」の大学生活、高校生活を送っている人にこそ、読んでほしい。
そんなに自分とかけ離れた人ではないと思うだろう。そして、自分とかけ離れた人ではない人が突き詰めてここまでのことが出来るんだということも感じて欲しい。☆3つ。
P8 自分を信じて強い思いを持って突き進んでいけば、ひとりまたひとりと一緒に伴走してくれる人が現れるものです。信じるものがある人には、自然に人を「巻き込む力」が生まれてくる
P43 自己実現ができなかった親は、娘たちだけがいきいきと自由に生きることに耐えられなかったのかもしれない
P156 人生の最後で、自分の生に価値があったかどうか、それに答えるのは自分しかいない
小檜山 歩
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