このところプロレスといえば東京女子プロレスというぐらいに1つの団体の観戦をしていたのだけど、他の女子プロレスを見てみたいと思って始めてアイスリボンに行ってみたのだけど、特にメインイベントに驚かされた。
真っ赤に胸を腫らした終わらないチョップ合戦
今の女子プロレスラーの中で有名な選手を挙げなさいという時に10人、いや、5人の中に入ってくることが多いだろう藤本つかさ選手が選手の代表を務める団体ということもあり、 チャンピオンとしてメインイベントに登場した。相手は星ハム子の娘として語られることが多い星いぶき選手でここは藤本選手が貫禄を魅せて横綱相撲で勝つんだろうと思っていたけどそんな予想をはるかに裏切られるような勝負になった。
星いぶき選手は肘を怪我したこともあって得意技であっているエルボーを使えなくなった過去を持っている。そんないぶき選手が新しい得意技として使ってきたチョップが試合全体を通して弾けた。ちょっと古いプロレスファンにとってチョップといえばNOAHの東京ドーム大会で小橋建太と佐々木健介がぶつけ合った試合があまりにも有名なのだけど、それに匹敵するぐらいのチョップ合戦だった。大袈裟だと言われるのかもしれないけれど試合が進むにつれて腫れていくお互いの胸の跡を見れば大げさとは言えなくなるはずのチョップ合戦だった。
藤本選手は厚めにコスチュームを着ていたこともあってどのくらいの威力なのかがわかりにくかったこともあって途中でいぶき選手がコスチュームの上を剥ぎ取って素肌にチョップぶつけ続けたところにはとんでもなさを感じさせた。男子ではたまに見るのだけど、女子でここまでのチョップ合戦をするというのはこれまでもこれからもないのではと思える試合だった。
藤本つかさのキックとスピード感ある攻めが魅力的ないぶき
チョップ合戦の見応えがこの試合のメインだったのは事実なのだけど、それぞれの良さが出た試合だった。藤本つかさはキックの重みと鋭さを兼ね備えているのだけど、様々な形で繰り出されるドロップキックから、コーナーで座っている相手への顔面踏みつけ、座っている相手への蹴りと的確なキックで相手を削っていった。男子だとKENTA選手の蹴りに近いように感じる。いぶき選手は前半はスピーディーな動きで攻めながらも後半はハム子選手から受け継いでいるいぶロールやダイビングボディプレスなどの技も繰り出す技の畳み掛けの鋭さがあった。
藤本つかさのジャパニーズ・オーシャン・サイクロン・スープレックスホールドの美しさ
必殺技がいくつもあるのは知っていたし、ちょっと前にWAVEのチャレンジマッチではビーナスシュートで決めていたのだけど、自団体の王者としてのタイトルマッチということもあり、いぶきの粘りもあったのかジャパニーズ・オーシャンでピンフォール勝ちを奪ったのだけど、20分を超えていた中で肩車からゆっくり、でも力強く叩きつけた動きには風情すらも感じさせた。
今年見たメインの中でもかなり良いメインイベントだった。試合後のマイクではいぶきが星ハム子の娘ではなく、星いぶきとして戦うと宣言していたのも印象的だった。
アイスリボン後楽園ホール大会「リボンの騎士たち2021」
小檜山 歩
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