異なる国の人と一緒に働く時に参考にできる分析。でも、個人差には気をつけないと。『異文化理解力 ― 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養』(エリン・メイヤー)

グローバルで働くということは…

グローバルで働くということを意識した時に会議の場で言いたいことをはっきりと伝えないといけないとか、思っていることは隠さずに伝える必要があるというイメージがある人は多いのではないだろうか。日本で仕事をしているとは違うやり方をしなければならないとなったときに、グローバルコミュニケーションとは言いたいことを伝えて意見を戦わせるものだと思われがちだし、自分自身もそんな感覚を勝手に持っていた。

数年前にタイで働いたことがあるのだけど、”グローバル”に対する認識が大きく間違っていることは実感としてもあったしこの本を読んでも改めてその通りだったなと。

タイ人は日本人以上に会議の場で意見は言わず、相手を傷つけないようにするために不満があっても後日、上司を通して言ってくることもあった。一番驚いたのがメールの会議招集に対して出れないことを「辞退」ではなく「仮の予定」て返信することで伝えるということだった。他の会社では違うのかもしれないが、それがタイ人のやり方だと少し仲良くなったタイ人に言われて知ることができた。

国ごとのカルチャーマップ

日本人だけが自分の意見を言わずに寝技で交渉を進めていくと思ったら大違いで日本人以上に寝技や下交渉が必要な国民性がある 。そんな国ごとの違いを目安として知ることができるのがこの本で、コミュニケーション、評価、説得、リード、決断、信頼、見解の相違、スケジューリングの八つのポイントにおいてそれぞれの国民性を国ごとに分類した”カルチャーマップ”がまとめられている上に、ケーススタディとして複数の文化を持つ人たちが集まっている場で実際に発生した摩擦がケーススタディとしてまとめられている。

注意しなければいけないことは国ごとにプロットされているからそれを全ての人に対して鵜呑みにするのではなくて目安としてこんな考え方の方向性だということを知るぐらいにとどめておくことだろう。相手が自分のやり方に合わせてくれようとしている中で、ステレオタイプとして使うことによって無用な摩擦を生む可能性もあるし、受けてきた教育であったり働いている会社のバックグラウンドによって異なる立ち振舞いをするような人もいるだろう。

傾向として知っておく

「日本人だから」とか「タイ人だから」として扱うのではなく、こんな傾向があるらしいけど自分の前にいる人はどのくらいなんだろうと考える材料にするぐらいがいいのだろう。

もうひとつの使い方として自分は日本人の基本的な考え方からどのくらいずれているのかを再確認するための資料としても使えるだろう。幸いなことに日本という国民性はかなり極端にプロットされることが多く、自分の考え方と異なるものもあるのかもしれない。いわゆる日本的な会社で働いているにも関わらず、自分の行動がずれていると感じることがある人は”日本の会社の論理”を学ぶことができる材料にもなるので自分は8つの要素のどのあたりがズレているのかを考えてみるのも悪くない。

【手に入れたきっかけ】

話題になっており、気になったので

【オススメ度】

★★★★★

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小檜山 歩

コンサルタント日系総合コンサルティングファーム
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。
小檜山 歩
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。