「考えても罰は当たらない」野村野球のことがつまっています。ヤクルトの監督に野村克也さんが就任し、その年のキャンプの初日から毎晩2~3時間行ったミーティングのスタートには「はい、こんばんは。今日も知らないより知っていたほうがいいを始めます」と言ったり、「考えたことがないのなら1回ぐらい考えておけ。それでも罰は当たらんぞ」(P27)と言ったりしたらしい。
そんな野村克也という野球人が、ミーティングの内容を阪神の監督時代にまとめた「ノムラの考へ」をベースに書いた本。つまり、「考えても罰は当たらない」ぐらいのもの。内容は他の選手の評価・野球論・野村克也論の3つに大きくは分けられる。それぞれが章ごとに分かれているのではなく、一冊の中で混じり合っているのが面白い。
“野村克也論”は野球とは直接関係ないように思える人間関係やサッカーの事、人生などについて野村克也さんという人間がどう考えているのか、ということを書いたものだと思ってもらえればいいです。
この本が出たのは、2005年。阪神の監督を辞めて、社会人野球のシダックスの監督をやっていた頃に出版されている。ここまで書くのか!と思えることまで野球論については書かれている。
打者を4タイプに分ける話や、監督としての継投の基準、左打者のスイングについてなど、読んでいる限り、かなり事細かに書いてある印象を受ける。もう、プロ野球の監督をやるとは思ってなかった。だから、ここまで書いたんじゃないか、と思えるほどの内容でした。翌年には楽天の監督に就任することになりましたが。
加えて、野村さんのいろんな基準で選手を評価している。清原や今岡がなぜ低い評価なのか。現役時代の江本、江夏、門田との濃厚なエピソードも野球好きにはたまらない。そして、古田との関係についても触れている。
まだ、松坂大輔が日本にいて、ダルビッシュ有が一年目だったこの時代、日本で最も信頼が置けるエースの名を実名で断言している。松坂なのか、そうじゃないのか。松坂でないなら誰なのかは読んで確かめて欲しい。
発売時には、結構話題になったと記憶している。組織論の側面があると言われていたけど、やっぱり野球本。野球が好きではない、野球の知識が少ない人には厳しいかもしれない。もちろん、学ぶところは絶対にありますが。☆4つ。
自分なりにタイトルをつけるなら、直球で『野村の野球』ですね。“野球”を入れるのがポイントです。
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小檜山 歩
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