小泉純一郎氏の政治手法について、加藤の乱を起こした、加藤紘一氏、山崎拓氏はこう語る。
P196-197「山崎:敵を作って味方を増やすというのが、彼(小泉)の手法でもあるので、必ず敵を作るんですが、敵は小泉総理に直接攻撃できないので、そばに立っている私にヤリを撃ってくると、そういう形になっていた。
こうした小泉の政治手法に、加藤紘一は疑問を感じ始めた。
加藤:僕はね、自民党の総裁が身内をわざと敵に仕立てて、それで自分が舞い上がっていくというのは、グライダーでもあるまいし、あまりよいことではないなあと、その手法には乗りきれなかったですね。でもそれを最後まで、徹底してやった人じゃないでしょうか。」
そして、加藤が小泉の政治について語る。
P238「加藤:小泉さんの政治が終わってから、つらつら思うんだけど、小泉さん時代の5、6年はね、何か小泉劇場っていう見事な芝居に熱中した一時のように思うんですね。やたらと面白かった。やたらと主演男優小泉という人が、舞台で動きまわっていて、まあ、本当に拍手したんだけど、芝居がはねて劇場の外に出てみたら、「あれ、この芝居、面白かったけど、テーマなんだっけ?」と思うとね、「いやあ、なんだったかなあ?」というふうにわかんなくなっちゃっていたと。
やっぱり、今日本の政治に必要なのは、政治をショーにしてしまう、面白いドラマにしてしまう、ということから離れて、昔のような落ち着いた政治に直していかなきゃいけないんだと思います。政治っていうのはもともと国民の生活、毎日の生活を扱うもので、それ自身非常に日常的な、そんなにドラマのない。しかし極めて深刻なことも多い営みですからね。あんまり楽しい楽しい政治というのも一時はいいんです。でも小泉さんの5年は長すぎました。」
小泉劇場を芝居と表した加藤氏の例示は物凄く分かりやく、共感した。未だ、小泉純一郎政権とは何だったのか。ということを社会全体で考える試みがない。終わったものとしている。あんなに長い間、政権をとっていたのに。小泉から離れ、時間が経ち、残ったのは政治への不信だけ。小泉は自民党を変えたのかもしれない。そして、怖いのが国民の政治へのイライラのくすぶりが表面化したときに小泉純一郎以上に進次郎、もしくは純一郎の復活か他のカリスマ、例えば無罪になった小沢氏かもしれないが、過度の熱狂が向かわないか。
そのなかで、何らかのきっかけによって何も考えない陶酔に向かわないか。政治は議論とバランスが大切であるということを肝に命じておかないといけない。そして、独裁タイプが出てきた時には見極めないといけない。
こんなことを前に書いていた。この大震災が独裁になるきっかけにならないことを祈る。みんなで話しあっていい形にして欲しい。なんか、しっかりしたことが書けない。他のことで頭がいっぱい。でも、なんとか書いてみた。意地ですね。
1、 レビューと小沢一郎という政治家について
http://kohiayu.blog5.fc2.com/blog-entry-415.html
2、権力闘争も政治。でも、それだけじゃダメ
http://kohiayu.blog5.fc2.com/blog-entry-438.html
3、 加藤の乱
http://kohiayu.blog5.fc2.com/blog-entry-463.html
4、小泉劇場
5、 小沢一郎と管直人
小檜山 歩
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