宗教ぽいけど心に留めておいておくといい。「他人は他人」教の第三弾『妻は他人 ふたりの距離とバランス』(さわぐち けいすけ)

夫婦の関係だけでなく、恋人であったり仕事上の関係性で悩みを抱えている人がいたときにそんな考え方をすれば少しは楽になるかもしれないと思える思考回路のヒントになる。この人の「他人」シリーズ(勝手にそう呼んでいますが)の基本的な考え方はずっと変わっていない中で人が二人いた時の考え方のするすり合わせの方法が深まっている。

こんな気持ちが大切でしょう。他人ですから。『妻は他人 だから夫婦は面白い』(さわぐち けいすけ)

やっぱり好きです。この人の考え方。『人は他人 異なる思考を楽しむ工夫』(さわぐち けいすけ)

 

今回の本でいいなぁと思ったのは「嫌いなことを共有する」、「各自が一人でも生きていける」、「求めるものが違うことを認めること」の3つとパラパラ出てくる小ネタ集でした。

嫌いなことを共有する

1つ目の「嫌いなことを共有する」というのは夫婦円満の秘訣として挙げられているポイント。サプライズが嫌い、シンクの中にゴミは置いて欲しくない、画材が自分のエリアにはみ出てくるのは好きではない、イライラしたことは言ってほしいなど相手の行動で気になることや続けてほしくないことをはっきりと相手に伝えるということ。

往々にして相手の好きなことだけを気にして相手を満足させることに注力しがちなことが多いのだろう。お互いが心地いい環境を作るために相手が好きな状態にすることも大切なんだろうけど、それ以上に嫌いなことをしないことという事の方が大事なのだろう。

大切なことははっきりと嫌いなことを伝えることと同じぐらいなんとなくとかもやもや嫌なことも含めて伝えるということらしい。そのときに過去との矛盾を恐れないこと、一貫性を求めないことも大切というのは確かにと。前は気にならなかったけどなんだか気になるという相手への気持ちは変わりゆくものであり、一定ではないという前提に立つべきというのは納得だった。

各自が一人でも生きていける

「各自が一人でも生きていける」というのは付き合いたてのころだったか今のパートナーと話したことだったなぁと思い出した。一緒にいる理由が「1人でも大丈夫だけど一緒がいい」からというのはしっくりくる考え方で、相手がいないと生活ができないとかになってしまうとどちらかに過剰に負担がかかってしまったり、どちらかの生活をどちらかが支えることが義務になってしまうだろう。

そんなカップルを是とする人も多いのかもしれないけど自分の考え方には合わないからこそこんなことを考えていたのだろう。子どもができたら少し考え方を修正しなければいけないのかもしれないけど、育児に対して両方がそこそこの責任を担うことを前提とした場合には掃除や洗濯が片方しかできないというのは致命的だったりするので「一人でも生きていける」というのは大切なことなのだろう。

小ネタ集

最後のポイントに入る前に「人は他人」という考えをベースに日頃の悩みに対する処方箋になるかもしれない小ネタを3つ紹介させてもらう。

「苦手な人からはとにかく離れる」のが大切というのは仕事でもプライベートでも苦手な人と無理に付き合うことは何も生まないという話から。仕事であれば仕方ないと思う人はもいるのかもしれないけど、会社の全員が苦手な人となることは少ないからこそ、合わないという人がいたときには周りに助けを求めて距離を置くとかあいだに入ってもらうなどの工夫をしてみるのもいいでしょう。もちろん、会社をやめること自体も一つの選択肢に入れてしまってもいい。

相手の行動に対して不満があった時には「要望と妥協案を出す」というのが大切で、行動に対して文句を言いがちかもしれないが、文句を言ったとしても自分にも相手にとっても良い結果を生まないことが多いだろう。このくらいにしてほしいという要望を出してみて相手の様子をうかがうのが大切というのはたしかにと。

今の自分に自信が持てないとかこのままでいいのかと考えてしまう時には「ここに来ただけでもよかった」と思うことも大切だろう。今の自分から考えるともっと良い状態になりたいと思い続けることは自分の成長のパワーになることもあるけど、 自分に押しつぶされてしまうことにも繋がる時がある。そうならないために前に「こうなれればいいなぁ」と思っていた自分になっている自分も認めることもいいのかもしれない。高校生の頃にこんな大学に入りたいとかそこそこお金を稼いで結婚できたらいいなぁと思っていた目標の一つか二つは叶っていることは認めるのもいいでしょう。

求めるものが違うことを認めること

カップルの間で「尽くしても応えてくれない」とか「休日の過ごし方が違ってイライラする」という悩みを持つ人もいるだろう。最後の「求めるものが違うことを認めること」はそんなカップルに向けて送る考え方になっている。

休日の過ごし方一つ取ったとしても基本的に家でのんびり過ごしたいという人も居れば絶対に外出したいという人もいる。カップルで一緒に過ごすべきと考える人もいれば、たまには別々に動くべきと考える人もいる。違いを無理やり埋めようとするとどちらかがどちらかに合わせることによってストレスが溜まってしまう。無理やりどちらかがどちらに火に合わせるのではなく、相手の考え方も採用してみると「こういうのもいいかも」と思えてくるかもしれないという気持ちで求めることを合わせるのではなくて、違った上で試してみるというのもいいだろう。

 

フリーランスで自由に働いているから、子どもがいないからできるのだと言う人もいるかもしれないけど、どんな働き方をしていようが、子どもがいようがいまいが「相手に対して勘違いや思い込みの役割を押しつけないこと」が大切で「妻でも、友人でも、家族でも一人一人が他人」であり「礼儀や思いやりが大切」であるというのは忘れてはいけないことだと改めて思わせてくれる。

【手に入れたきっかけ】

前の作品がいい感じだったので気になって。

【オススメ度】

★★★★★

The following two tabs change content below.

小檜山 歩

コンサルタント日系総合コンサルティングファーム
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。
小檜山 歩
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。