諏訪魔、藤田和之へのブーイングは昭和の謎解きプロレス終焉のゴングだった。
昭和のプロレスを現してきた天龍源一郎の引退興行で昭和プロレスの1つの大きな価値が終わった。
レスラーとレスラーではなくて人と人として批判をし合って試合が組まれるまでの前置きが長くて試合でも噛み合わない。でも、人間同士の怖さがある。長州力を引きずりだした大仁田やよく分からない謎かけや消化不良な試合で観客のブーイングもありながらも気になってしまうプロレス。
昭和のプロレスには分かりにくさがあった。それがプロレスに入り込むための壁になり、めんどくさくてプロレスを一部のオタクのものにしていた。
その壁を越えた全盛期のノアや今の新日本プロレスの成功からも分かるようにプロレスも分かりやすくないと受け入れられないようになっている。
すごい戦いと分かりやすいキャラクターと物語。何年か前に鈴木みのるが「今のプロレスはサーカス」と言ってたようにプロレス自体が変化していった。
サーカスとなったプロレスには新しいファンが出来る一方で昭和プロレスファンの一部はプロレスから離れていった。
今回の天龍源一郎引退興行は今のスーパースターであるオカダカズチカとミスタープロレス・天龍源一郎の試合がメインイベントってこともあって平成のプロレスファンと昭和のプロレスファンが混じりあっていた空間だった。
そんななかで行われたセミイベントは諏訪魔・関本VS藤田・関本のタッグマッチ。
ずっと挑発し合い、長い長い物語の末に向かい合った諏訪魔と藤田。向かい合って長い間動かず、かなりゾクゾクしていたんだけど早い段階からブーイングが混じり、2人が意識しすぎて試合にならなければならないほどブーイングは大きくなり、岡林と関本の絡みで歓声が起き、2人の所属団体である「大日本」コールが起こる。
プロレス冬の時代にプロレスファンになり、中途半端な決着にもプロレスの面白さを感じていた自分としては悲しい現実を目の当たりにした。
天龍源一郎の引退と共に1つのプロレスが終わってもう1つのプロレスに完全に上書きされたのかもしれない。
小檜山 歩
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