才能を認める、才能を受け取る、才能を羨ましがる、才能を活かす、才能を育てる、才能を殺す、才能を認められる。
才能とは残酷だ。でも、美しい。
とあるピアノコンクールに参加する若者たちの姿は才能の美しさと残酷さを映し出す。
芳ヶ江国際ピアノコンクールに出場している4人
1人目は音楽の神様と呼ばれた男から与えられたギフトであり、劇薬でもある少年。2人目は消えた天才少女。3人目は子連れの年寄りピアニスト(年寄りといっても28歳)。4人目は王道の実力派天才少年。
この4人を中心に物語が進んでいく。舞台は芳ヶ江(よしがえ)国際ピアノコンクールでエントリから1次予選、2次・3次予選と進み、本選へと進んでいく。ピアノコンクールを見たことがないのでこんな感じなのかぁと思う一方で大半のスポーツと違って点数がつけにくいであろうピアノコンクールでどう選考がされるのかなんかは”ほぉー”と面白さを覚えた。
その上で登場人物の1人が言った「残酷で面白くて魅力的なイベント」という言葉が確かにと思える。ただ、実際に自分の体で体験してみたいとも思ったりする。いつか行ってみようか。
2冊目の恩田陸さんの小説は丁寧な取材を感じた
生まれも育ちも違う、でも、知らずのうちに交わり合っていてピアノによって1つの場所に集まった4人を中心とするコンテスタント(コンテストに出場している人たちのことをこう言うようです)たちの戦いと彼・彼女らを取り巻く審査員やサポートする人たちの姿が鮮明に浮かんでくるのはさすが、恩田陸さんといったところなのでしょう。
恩田陸さんの本は『光の帝国―常野物語』を読んだことがあるけど、あんまり覚えていないのはなんででしょうね。
丁寧な取材をしたんであろうピアノコンクールの細かい描写が読者を引き込んでくる。他にも読んでみようと思います。おすすめがあれば教えてもらえるとうれしいです。
パパ、やっぱりあたしは正しかったでしょ
特に印象に残ったのはこの文章が出てくるところかな。
明るい野山を群れ飛ぶ無数の蜜蜂は、世界を祝福する音符であると。そして、世界とは、いつもなんという至上の音楽に満たされていたことだろう、と。
百年、あるいは数千年昔の人々も、きっと同じことを感じていたと信じて。 数百年、あるいは数千年先の人々も、きっと同じことを感じていると信じて。
クラシックを聞かない自分なんだけど、この本からはなぜか音楽が流れているような気がしてそれぞれのコンテスタントが弾いている曲を聞きたくなるのです。こんな読者の気持ちをわかっているかのように出てきた曲をまとめたCDが出てるってのもすごいっすな。
そして、物語のクライマックスはここだった。
パパ、やっぱりあたしは正しかったでしょ
なんだか普通というかそんなに深みがあるとは思えない言葉かもしれないけど、ここまでの丁寧な積み重ねによってこのそんなに深くなさそうな言葉に重みを感じたのです。
【次の本】
『夜のピクニック』(恩田 陸)
次の恩田陸さんの小説として読んでみようかと。
【手に入れたきっかけ】
パートナーに薦められて!
【オススメ度】
★★★★★
小檜山 歩
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