わからない。でも、わかる気もする。それを考えるのがプロレスのおもしろさ。プロレスのお話です。
新日本プロレスの絶対的なエースであるオカダ・カズチカが団体で1番と言われるタイトルであるIWGPヘビー級王座を11回防衛した。これはオカダ・カズチカの前にエースと呼ばれていた棚橋弘至の記録に並ぶ。
そして、V11の記録にオカダ・カズチカが並んだ時にオカダ・カズチカの前に立ったのは棚橋弘至だった。そんな2人の試合は5/4に福岡で。
濵かつ Presents レスリングどんたく 2018 – 福岡・福岡国際センター 5/4(金)
試合が決まったらプロレスラーはお互いにけなしあったり、試合に対する思いを語ったりする。良い人(ベビーフェイス)と悪い人(ヒール)にわけられることが多いプロレスラーの中でもとびっきりの”良い人”であった棚橋弘至は汚い言葉を使うことは少ない。
でも、今回は違った。
オカダ・カズチカに対して”クソくらえ”と言った。でも、それはオカダ・カズチカに対してではなくてオカダ・カズチカの防衛ロードについて。なぜなのか。
新日エース棚橋弘至が「蘇る」宣言。オカダ・カズチカと最後のIWGP戦!? – プロレス – Number Web – ナンバー
こんなことを考えたくなるのがプロレス好きってもんでしょう。
防衛ロードを比較してみた
防衛ロードについてってことでそれぞれの防衛ロードを比較してみた。
新日本プロレスがそれぞれのV11の軌跡を動画にまとめていたのでそこからまとめてみました。
2人の防衛ロードで共通しているのが内藤哲也と鈴木みのるだけということに防衛ロードの時代の移り変わりの早さを感じさせるんだけど、”クソくらえ”感はない。
つまらないと同義として捉えるならマンネリ化があるんだろうけど、重複した対戦相手は棚橋の3人(小島聡、中邑真輔、永田裕志)に対してオカダ・カズチカは2人(内藤哲也、ケニー・オメガ)だし、技のバリエーションも棚橋が飛び抜けてあるわけでもない。
じゃあ、なぜか。
やっぱりプロレス感の違い。いや、それをぶつけないことへの憤りなのかも。
前に鈴木みのるの本を紹介した時の棚橋弘至と鈴木みのるの煽り前Vのように過去と戦ってきた棚橋弘至がいる。
でも、オカダ・カズチカはそんなことを気にしない。「総合格闘技にプロレスが喰われた」時代から立て直してきた棚橋にはプロレスに対する気持ちがある。それを棚橋弘至は「愛」と呼んでいる。
オカダ・カズチカの試合はすごい。でも、気持ちがあまり伝わってこないこともある。それを本人は「超人」だからと言う。「愛」と「超人」そんな違いから棚橋弘至のクソくらえという言葉が生まれているのかもしれない、
棚橋弘至の思いの伝わるプロレスとオカダ・カズチカのアスリートプロレスのぶつかり合い。
アスリートプロレスへの危機感と怒り
このままアスリートプロレスでいくことに対する危機感と怒りが棚橋弘至にはあるのかもしれない。昔からのプロレスファンの私もこのままアスリートプロレスでいくことへの危機感がある。その先の気持ちがプロレスでは大切だと思ってるから。昔ながらで古臭いと言われるかもしれないけど、そう思う。
アスリートプロレスで突っ走るともっと”すごい”ものが出てきた時に取られてしまうかもしれない。でも、思いの伝わるプロレスは人の心を動かして見るものを引き続ける。天山広吉が若手を三タテしたG1で涙してプロレスが好きになり、スタイルは嫌いだったけど、棚橋弘至を見続けたいと思った時と同様に。
アスリートプロレスに対するなにかを棚橋弘至には見せてほしいちょっと前からのファンとしては強く願う。そして、棚橋弘至のクソくらえはアスリートプロレスに対する反発だと私は思ったのです。
小檜山 歩
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