【見たきっかけ】
ネットの記事で見かけて、見てみようと思ったので!
【内容】
企画からデザイン、印刷までの全てを自社で行っている世界にほどんどない出版社のお話。
ドイツにあるシュタイデル社はゲルハルト・シュタイデルがゼロから始めたドイツにある出版社で、
アートブックを主に扱っている。そんなシュタイデルの本作りに密着したドキュメンタリー。
欧米のアートブックに精通している人にとってはたまらない出演者なのかもしれないが、
全く知識のない自分にとっては馴染みのない人が多かった。
シャネルのデザイナーが出てるなぁぐらいだろうか。
ネットで調べたらカール・ラガーフェルドという著名なシャネルのファッションデザイナーだった。
ドキュメンタリーの中で多くの時間が割かれていた『iDubai』を出版した写真家、ジョエル・スタンフェルドも知らない存在だった。
ただ、本作りにここまでこだわれるのかと改めて驚く。
アートブックを主に手がけているため、
載せる写真のチョイス、本自体の大きさ、色合い、紙の質感、デザインなど全てを
本の著者と一緒に決めていく。その際に著者の意見を丸呑みするのではなく、
専門家としての自分の意見を伝えるのも当然の事。
その作業の全てに社長であるシュタイデル自身が入る。
シュタイデルは本の内容、デザイン、印刷の全てについて知識を持っている編集者といった感じ。
印刷所も自社で保有しているので印刷についても様々な工夫と無理が効くのが強みだろう。
ただ、シュタイデルは会社経営者であり、芸術家ではないため、
本を芸術的に作るだけでなく、会社として利益を上げるために
どうバランスをつけるかについても話題が所々に出てくる。
決まった内容とスケジュールで進めようとするシュタイデルと変更しようとする写真家のやりとりは、
理想の本を作り続けながらも、経営者でもあるシュタイデルの立ち位置が透けて見える。
ただ、映画の主眼は美しい本を作る人間としてのシュタイデルに向けられ、
ドイツ国内やヨーロッパだけでなく、アメリカ、アラブにまで出向き、写真家とミーティングを繰り返す様子が流れていく。
Kindleにはない本の香り、めくる音、重さ、文字の印刷。
だからこそ、本は特別な存在で、その中でも特別な本を作るシュタイデルの価値を感じる。
【映画館の様子】
シアター・イメージフォーラム@渋谷 9月30日 10:50~
平日・月曜日の朝だというのに満席で立ち見まで出ている盛況っぷりでした。
見終わった後に買ったパンフレット。
いい匂いはあんまり感じなかったけど、紙の手触りを意識して触ってみるとなんだか良い手触り。
【考えたこと】
パンフレットの中でシュタイデルは日本でこの映画を見た人へメッセージを送る。
「日本は世界で最も美しい本のためのマテリアルと技術を有する国」であり、
「日本で今(シュタイデル社)のような出版社を経営したい」とのこと。
これは、誰かにそんな出版社を立ち上げてほしいというメッセージなのかもしれない。
とりあえず、家に帰って美しい本を本棚から探してみようと思う。
小檜山 歩
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