強いってのはプロレスだからこそ腕っぷしだと思われるかもしれないけど、それだけじゃない。プロレスならプロレスにおいて強くならないといけない。
それは純粋な腕っぷしとニアイコールではあるんだろうけどイコールではない。仕事なら仕事をする上での全ての力でしょう。そんなことを思ったかな。
鈴木みのると周りの人たちの鈴木みのる語り。
それがこの本の内容でしょう。2018/04/19現在、新日本プロレスのインターコンチネンタル王座の王者である鈴木みのる選手がプロレスとの出会い、新日本プロレスからパンクラス、引退を考えている中での獣神サンダー・ライガー戦、そしてプロレスへと戻ってきた道のりが語られる。
プロレス好きならこんなことを思っているのかぁと楽しめるかもだけど、そうじゃない人にはチンプンカンプンだったりするかも。各章の最後には用語解説があるんだけど、プロレスについて全く知らない人が読んでもふーんとした思わないかなぁ。ま、それでいいんだろうけど。
鈴木みのるだけじゃなくて対談相手として高山善廣と天龍源一郎、証言者として棚橋弘至と高木三四郎が出てくる。
新日本、UWF、パンクラス、全日本、ノア、新日本
鈴木みのるはメジャーと呼ばれるこれらの団体にあがってきた。それだけでなく、インディーと呼ばれる団体にも。そしてカール・ゴッチというプロレスの神様と呼ばれる人の教えも受けていた。そんな稀有な存在だからこそプロレス界の第一線で生きている。
自分とは正反対だったノア、よくわからない全日本、下っ端だったUWF、戻ってきた時には変わっていて変わっていく新日本など鈴木みのるの目線から見たプロレスの歴史本って感じ。
パンクラスでのライガー戦と2012年の棚橋弘至戦
ライガー戦は鈴木みのるについて語られる時に必ず出てくるから調べて見たし、棚橋弘至戦は現場で見て鈴木みのるを応援してた。で、負けた。
そんな試合についての箇所を読んでいる時に指が止まらない自分がいる。プロレスの大きな魅力である物語性。その場その場で生きている鈴木みのる選手は気にしないのかもしれないけど、読んでいるとそんな物語性を勝手に感じることができる。勝手に感じることができるのがプロレスの魅力なんでしょう。意味付けの面白さは終わらないからね。
ライガーVS鈴木みのるの試合。こんなの今はないでしょう。
そして、これが2012年の棚橋弘至戦の煽りV。互いの価値観を感じることができる。
もう1つ、印象的な試合というかプロレスを好きになったぐらいの頃に見た鈴木みのるが新日本プロレスに帰ってきて初めて佐々木健介とシングルで戦った試合も見たいんだけど、見つからないんですよね。
白色の鈴木みのるのかっこよさはこの時に初めて思ったかな。
どうやって魅せるのかを考えている
悪者として各団体にあがっている鈴木みのるもお客さんのことを考えてプロレスをやっている。それも色で感じて自分がこうしたいという色にもっていくという話がある。リング状を5つのカメラで捉えて自分がどう見えているのかを考えているって話はすんげーと。
だから、この人のプロレスは”面白い”とおもうんだと思う。総合格闘技についてこうあるべきというのがちょろっと出てくるのも興味深い。
仕事だったら…とかはない。
自分の話をひたすら。受け取るのは読み手っていうスタンスなんでしょう。でも、それでいいでしょう。プロレス好き向けだけど、プロレス好き、鈴木みのる好きとしてはかなり満足でした。
やっぱり鈴木みのるが面白い。今だけ見る人にもずっと見てきた人にも。
【手に入れたきっかけ】
Kindle Unlimitedで見つけたので
【オススメ度】
★★★★★
小檜山 歩
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