ふとした時に全て終わりにしてしまえばいいんじゃないかと思うことがある。仕事であれば全て放り出してどこかに行ってしまおうとか、 もし、自分の口座のお金全部持って一人で海外に行ってしまおうとか。
決して実行しない。でも、何かを引き金に思ってもいないないことをやってしまう可能性はゼロではない。大切な人が傷つけられてしまったり、自分のプライドがあまりにも理不尽な方法で壊されようとしている時には自分の中の怪物が動き出すこともあり得るだろう。
どこにでもいるようなおじさんとお兄さんとお姉さんが日常生活の中の出来事をきっかけに日常から離れていく姿が宮部みゆきの臨場感を持って描かれる。
宮部みゆきの物語の中でイチオシは青春とミステリーと大人の階段が混じり合う『今夜は眠れない』という作品なのだが、こっちは大人の人生の物語。 人生の中に誰でもある一つか二つの取り除くできないしこりが重なり合って事件が生まれようとしている。
ある夏の大きくて小さくてやっぱり大きな物語。宮部みゆき作品の中で一押し! 『今夜は眠れない』(宮部 みゆき)【本・ミステリー】
元カレの結婚式に趣味のライフルの銃を持って現れようとする女性である慶子、その女性がライフルを持っていること知っている釣具屋のおじさんである折口さん、景子の元カレの妹である範子と折口さんの後輩である修治さんなど私たちの隣にいるであろう人々が事件へと自ら突き進んでいく。
そこにあるのはそれぞれの心の中にある思いの強さ。どんなことが起こったら人は人を殺すことになるのか。自分は絶対に人を殺すことはないと言い放つ人こそ人を殺すのかもしれない。
タイトルにあるスナークとは正体のはっきりしない怪物なのだが、この物語におけるスナークとはなんなのか。心の底から悪であると思われる人間が出てくるが、そうではない人間の中にこそスナーク、怪物はいるのかもしれない。
【手に入れたきっかけ】
実家にあったので
【オススメ度】
★★★★☆
小檜山 歩
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