人生の中で何かを諦めることがある。特に大人になればなるほど、現実と理想の違いに迫られて自分の理想を一つ一つ切り落としていく。
そんな自分には自分以上に子どもたちのほうががっかりする。若いころには厳しい言葉や態度で自分の存在を表していたのに、それはいとも簡単に年によって崩れていってしまう。若い時の子どもで、若々しい親を見ている子どもほど、親の老いや挫折を目の当たりにするときのショックは大きい。
大変かもしれないけど、絶頂期ほどは難しいかもしれないけど、若かりし頃の自分を少しでも取り戻そうとする姿を親が見せれば子どもは嬉しくなる。だからこそ、最後まで親には親であることを諦めないことが求められる。若い頃に体力でどうにかなっていた事を年を重ねても出来るだけ目指し続けるのが親の責務なのかもしれない。
若い頃は男らしさを子どもに求め、仕事もバリバリ、自ら稼いだお金で一軒家を建て、一国一城の主だった康平は些細な事で自らの会社を潰してしまう。それをきっかけに妻の千恵や息子との翔太に強くものを言えなくなってしまう。
親の経済的な失敗によって大学に通うことも諦め、家族三人で東京から地方に引っ越してきた翔太は母親に言われっぱなしの父親の姿に諦めの心を抱く。家族三人でディズニーランドになんか行きたくないけど、父親の残念な姿を見ると断るに断れずにバスでディズニーランドに向かう。
本日が運行最終日のバスには翔太の家族を含めて2桁にギリギリ届かない数の人が乗っている。全員が一癖も二癖もありそうなバスの中でバスジャック事件が起こる!
”一風変わった”バスジャック事件の中で描かれる社会からちょっと変わった目で見られそうな乗客たちそれぞれの姿とこれから。
人は年をとり、確実に老いていく。そんな中で人と人が一緒にずっと生きていくことの難しさと価値がなぜかバスジャックを通して描かれる。いくつになっても戦い続ける親は美しい。
【引用】
もう黙っててくれ。翔太は父に対し思った。今の我が家の力関係を他人に見られたくない。
サンドイッチはおいしかったが、翔太はなにか寂しくなった。サンドイッチをうまく作れる父親に。おいしいと言われて笑顔なんか見せている父親に。
「千恵なら大丈夫だ。俺は信じてる」と堂々と責任放棄する父親や、「ごめんね」と泣いて謝ることで罪悪感を消そうとしている母親に腹が立った。
時を取り戻すことは絶対にできない。それならば勝ち負けではなく、それに匹敵する時間をこの先作り出していくしかない。そのための関係性を築くためにいろいろな壁を乗り越えるしかないのだ。壁を超えるのだ。
【手に入れたきっかけ】
Kindleキャンペーン!
【オススメ度】
★★★☆☆
小檜山 歩
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