自分の意識の中に名前も知らない他の人を存在させる大切さを感じることが出来る。
会社に行く途中ですれ違ったり隣に座っていたりする人も自分と同じように家があって家族がいてよろこんだり、悲しんだりする。
そんな当たり前だけど忘れがちなことを思い出させてくれる1冊。Dialog in the dark(以下、DID)という暗闇の中で探検し、対話するイベントに参加した時にイベント自体の凄さに驚いて買った本。
暗闇の中、視覚障害者の方に案内してもらいながら対話をするアトラクションであるDIDがどんな思いで作られ、どう作り上げられていったのかが日本でイチから作り上げた志村真介さんの言葉で語られる。
視覚障害者の雇用支援とかの社会貢献の文脈で語られることの多い試みだけどアトラクションとしてもすばらしいので多くの人に参加してほしい。あんまり行けなくなりそうなので、近いうちにもう1回行ってみようかと思ったり家族が出来たら改めて行こうと思ったりしてます。
全くの暗闇だと目が慣れることがないことや暗闇といってもいろんな暗闇があったり、お互い様になれる時間であったりと体験を思い出すと共に志村さんが頭と体を使い果たしてこのイベントが出来上がっていること、いろんな人の思いがこのイベントに埋まっていることが伝わってくる
アトラクションを体験していないとこの本の臨場感は感じることが難しいと思うので、ぜひ、体験した上で読んで欲しい。
(自己中心の人がDIDを通してどんな変化が起こるのかを表した図)
日常がDIDを通してどう変わっていくのかを表すこの図は確かに!と思う。東京駅の地下鉄で閉まりかけの電車に乗ろうとする怖い顔したおじさんに思いっきり肩をぶつけられるたびにこの人の意識の中に自分は全く存在していないんだと悲しくなる。
著者である志村さんも日常の中のとある時に奥さんに周りの人が自分の意識の中に存在していないことを指摘されたシーンが出てくる。
DIDをやってみると周りの人の存在が自分の意識の中に入ってくるはず。少しずつ冷たい雰囲気が漂い、周りの人を意識しない立ち振舞が増えていっている気がする今こそ、DIDは必要なんだろう。
【手に入れたきっかけ】
DIDに参加した際にどうやってこのアトラクションが作られたのかが気になり購入!
【オススメ度】
★★★★★
小檜山 歩
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