坂崎ユカという選手の魅力を表すとすればなにか。小さい体でほわほわ系の雰囲気を持ちながら試合になった瞬間の怖さというかどこまでいってしまうのだろうかと感じる儚さというかそんな雰囲気を持つ選手は唯一無二で他に似ているという選手が見当たらない。強いていえばタッグパートナーの瑞希から同じような雰囲気を感じることもあるけど坂崎の領域までには達していないようにも感じる。ほわほわ系はあるけど怖さと儚さは坂崎の唯一無二のものだろう。そんな坂崎が改めて東京女子の頂点に立った。
はじめての東京プリンセスカップの頂点
東京女子のシングルベルトの頂点はプリンセスオブプリンセス王座で坂崎ユカは戴冠経験がある。でも、東京女子の1番を決めるトーナメントである東京プリンセスカップは一度も優勝したことがなかった。そんな坂崎が2022年に頂点に立った。
少し前のサイバーファイトフェスで王者である中島翔子に挑戦していることもあってしばらくタイトル戦線からは離れるのかもしれないと思っていたけどお祭りじゃない東京女子本流の戦いでもう一度タイトルマッチを戦うということで期待が高まる。
渡辺未詩の世代がトップに立つことも遠くない
今の東京女子プロレスのシングルのベルトは1年半の間、山下美優、中島翔子、坂崎ユカの間でやりとりされてきた。この3人が東京女子の中心であり三強であると言っても過言ではない(辰巳リカを入れると4年もの間、4人の間でベルトがやりとりされている)。ここにキャリアの長い辰巳リカやハイパーミサヲ、伊藤真希やDDTの赤井沙希や外国人選手が割って入ることもあるかもしれないけどこの3人以外がベルトを巻くことを想像できない。だからこそ、この3人以外がベルトを巻いた時に新しい何かが生まれるかもしれないという期待感がある。
この日の渡辺未詩はそんな可能性を感じる戦いを見せてくれた。アップアップガールズ(プロレス)というアイドルをやりながらプロレスをやるという二足の草鞋の中で着実に力をつけたアイドル大好きムキムキピンクな渡辺未詩は東京女子の頂点に立つ一歩手前までやってきた。
跳ね返されてしまったけど雪崩式のティアドロップが決まった直後に正調式のティアドロップが決まって3カウントが入っても誰も文句はなかっただろう。でも、坂崎ユカの儚い強さが上をいった。
東京女子プロレスが女子プロレスへ踏み込んでいく
東京女子プロレスのプロレスは他の女子プロレスと違う雰囲気を感じることが多い。海外の団体に遠征することはあるものの国内ではがとーむーぶなどの限られた団体にしか参戦することがない。全員がプロレス未経験者の中でできたプロレス団体であるが故に保守本流の女子プロレスとは異なるものと捉えられることが多い。
そんな中でも女子プロレスのレジェンドであるアジャコングや他の女子プロレス団体の選手との戦いの経験がある赤井沙希なども参加して団体を少しずつ大きくするためにプロレスの形を変えていこうとする意志を感じさせる。
だからこそ、坂崎ユカは勝利した後にキラキラだけじゃないプロレスを見せることができたのではないかと話したのだろう。この日の坂崎の技は保守本流の女子プロレスの中でも目を引くようなエルボーを何発も渡辺未詩に突き刺した上で説得力満点のフィニッシュホールドで勝ち切った。このプロレスに文句があるのかと言わんばかりの戦いでこれはすごいなと思わせる試合だった。世界でも名が知られている坂崎ユカというチャンピオンが女子プロレス界に更に打って出る戦いをこれからも見せていきそうな雰囲気だった。そんな中でまずは中島翔子とのタイトルマッチが楽しみでたまらない。
東京プリンセスカップ | DDTプロレスリング公式サイト
https://www.ddtpro.com/results/18633
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小檜山 歩
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