中島翔子選手との両国国技館での試合は他のDDTの試合にも負けない試合だったこともあり、今回もそれ以上の試合を魅せることを心に誓っていたであろう坂崎ユカ選手はこの試合を振り返って翌週の週刊プロレスでは悔しさを語っていた。だからこそ、試合後に山下実優選手にビンタをした。
その真意自体は「解釈は見た人に任せる」と明らかにしなかった
(中略)
そこにあったのは怒りや寂しさ、そして虚しさだったという。一言で表すのであれば「不完全燃焼」。
週刊プロレス 2021年 06/30号 No.2127 p.95
大舞台で映える坂崎ユカはどこから来るのか。
坂崎ユカという選手は大舞台で力を発揮するのだと改めて感じさせた。両国国技館の2階席から見ているときとは違って今回はリングサイドで見ることができたのだけど、改めてビックマッチでリミッターを外した時の凄さを感じた。入場の時の表情はもちろんのこと、試合中に魅せる一瞬の技のキレと相手とその先にいる何かを見通すような表情は男子のプロレスラーを含んでも唯一無二のものであるようにも思う。
普段は不思議ちゃんキャラでふわふわしているからこそ、スイッチが入った時の得体のしれない怖さがこの試合も存分に発揮された。
山下実優選手の強さの中にある優しさも魅力
なにかを躊躇していたようにも見える試合だった。もちろん、入場でも試合の中でも気合が入っている表情で、スワンダイブ式の技を狙った坂崎選手に対してハイキックで応戦するなどのキックはいつもどおりかそれ以上にキレていた。
それよりも気になったのはフィニッシュ前の泣きそうなこの表情だった。
どこか悲しそうで入場や勝利した後にも見せなかったこの顔の裏にはどんな心境が隠されていたのかが気になってしまう。自分の中では出し切っているつもりだけど、坂崎選手のすべてを引き出せていない悔しさなのか、これ以上やってしまうとお互いが壊れてしまうと思ってしまう躊躇なのか。
真意はわからないがその中でも技を出し切って勝ちきった東京女子プロレスのメインイベンターとしての責務が感じられる。
坂崎ユカの危うさがたまらない
試合直後の坂崎選手はいつもと違ったし、やりきった表情ではない複雑な表情をしていた。涙なのかなにかを訴えているとしか思えない表情を浮かべている。感情を発散しようとしているのだけど、どうにかしてブレーキをかけているようにも見えた。
そして、見つめ合った先には会場にインパクトを与えたビンタをブチかました。その時のシーンについてもこんな発言が週刊プロレスにあった。
あのシーン。山下は近寄って何も言葉を掛けなかったが、坂崎はその満足気な表情にイラッときていた。2人でならもっとできたはず。だからこそ「こんなんで満足してんじゃねえよ」との思いが爆発して、気がついたら山下の頬を叩いていた。
週刊プロレス 2021年 06/30号 No.2127 p.95
武藤敬司、丸藤正道、秋山準、HARASHINAの4人とともにトリプルメインイベントに立ったのは東京女子プロレス生え抜きの坂崎ユカと山下実優の2人。
東京女子プロレスの強さの象徴、中心としてベルトを巻くことが多いのは山下実優なのだけど、年に一度のビックマッチやDDT本体との興行でプリンセス・プリンセス王者戦をするときには必ずと言っていいほど坂崎ユカがメインイベントに立っている(WRESTLE PRINCESS(2020.11.07)での瑞希戦、Ultimate Party 2019~DDTグループ大集合!~(2019.11.03)での中島翔子戦)理由には坂崎が持つ大舞台での度胸と怖いぐらいの試合へのこだわりがあるのかもしれない。
そんな坂崎の姿には東京女子のプロレスラーとしての生き様だけでなく、坂崎ユカの価値を自分が高めてきた自負を感じさせてくれる。そこにはいつか壊れてしまうのかもしれないと思えるのような儚さもあるのだけど、その儚さも含めて見るものを惹きつける魅力がある。
CyberFight Festival 2021
秋山準がヨシヒコに抱かれ、丸藤が支え、山下が締めた幸せプロレスアリーナ「CyberFight Festival 2021@2021年6月7日」
小檜山 歩
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