「東欧史」の授業の一環で見た映画第二弾。今度は今は無きユーゴスラビア映画。ユーゴのジプシー音楽がいい。それについては、「「チャラッチャチャララ、チャラッチャチャラ、チャラッチャチャララ、チャラッチャチャラララ~」が好き。耳に残る。~Goran Bregovic「kalashnikov」~」http://kohiayu.blog5.fc2.com/blog-category-30.htmlで。
映画の内容は最初は訳がわからない。けど、第二次世界大戦から、冷戦、内戦による分裂というユーゴを描いている。歴史映像も混ぜながら。
取り上げている題材は難しいけど、革命家をカッコイイものとして描くのではなく、混乱の中、汚い手段も利用して成り上がっているように描いていて皮肉がたっぷり。友人を騙して、地下に街を作り、武器の生産をさせて、闇で利益を得たり。
「アンダーグラウンド」という題名が物凄く多層的。いろんな意味に取れる。主要な舞台も「アンダーグラウンド」だし、そこに居る人達も「アンダーグラウンド」な人だし、行っていることも「アンダーグラウンド」だし、設定も「アンダーグラウンド」。そして、きれいな歴史ではなく、汚い歴史のように見えるのも「アンダーグラウンド」的。空想っぽいけど、現実っぽい。
全てが夢だったという夢オチにも取れるし。怖い物語としても取れる。暗黙に知っておかないといけないこと(特に歴史的なこと)やレトリックが多すぎる。いきなり予備知識無しで見ることはオススメしない。最初と最後の音楽が紹介した「kalashnikov」で耳に残る。
この映画を流した教授が映画史に残るシーンとしていた場所とは違い、自分はラストシーンが物凄く深いと感じた。「ある所に国があった」とし、その語りの中で陸が離れていく。そして、見ている人に「この物語に終わりはない」と語りかける。「演じていましたよ。」というアピールなのか。ユーゴについての話だけど、創世記が頭の中に浮かんだ。一緒だったのに、国という存在が人々を引き裂いていく。一緒だったら楽しいのに。ということを示唆しているようにも読み取れる。いろいろ考える!
この映画の特徴は緩い中の恐ろしい絵であると思う。車椅子が回るシーンがある。詳しくは書かないけど、教授はこれが映画史に残るシーンと話していた。自分はそう思わないけど、熱い教授。最後のシーンを見て、教授が泣いている。珍しい人。心に入る研究をしているんだろう。ユーゴなどの東欧を日常や歴史があまり続かない場所と述べ、昨日まであった景色が消えてしまうことを現地で感じている研究者の葛藤を教授自身が表しているのかもしれない。この授業は頑張りたい!
難しいけど、深さで☆4つ。
小檜山 歩
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