VENYUというタッグを組んで東京女子のタッグトーナメントで台風の目となった朱崇花と上福ゆきのシングルマッチが両国国技館で組まれた。結構、唐突に組まれた印象のあるカードで朱崇花が東京女子にレギュラー参戦しているわけでもないので前哨戦もなかった(はず)試合で、飲み友達だと話す2人がどんな試合になるのかが楽しみなカードだった。
入場からそれぞれの世界観が映える
試合の前の入場もこの試合は大きな盛り上がりポイントになった。両国国技館という大きな舞台だからこそできる入場を見せてくれた。朱崇花はAimerの「残響散歌」に乗って出てきた上でステージの上で男性ダンサーと二人でダンスを見せる。ダンスは長いフレーズではなかったのだけどピッタリ揃っていてこれだけでも会場は盛り上がる。
性同一性障害のレスラーである朱崇花が踊る「残響散歌」 を聞いていると生き様に重なっていく。「どんなに暗い感情も どんなに長い葛藤も 歌と散れ 残響」という歌詞がなんだか女子プロレスラーとしての朱崇花の生き方の1つになっているように見える。対する上福ゆきは両国国技館の駐車場であろう映像から始まり、大きなバイクにまたがってやってきた上福がタバコは吸えないけど、口紅を塗ってリングに向かうまでの一連を映像で見せた演出も心を高鳴らせるには十分だった。上福ゆきの等身大でもあり、カッコつけている姿の両方を感じさせるシーンだった。
ひねくれている中で筋が通っている2人
性同一性障害をカミングアウトしたうえで女子レスラーとして戦い、チャンピオンにもなっている朱崇花という稀有な存在とグラビアからプロレスラーになり、デビューが遅い中でもスニーキーな技の中で真っ直ぐも見せる上福ゆきの2人はどこか似ている。そんな2人だからこそ、プライベートでも飲み友達であり、タッグも噛み合っているように見えたのだろう。
カラッとぶつかり合う中で一瞬の朱崇花のキレと重み
ビックマッチのシングルマッチは因縁を作ったりこれまでは何かしらの経緯から組まれて前哨戦や会見でも罵り合ったりすることも多いのだけど、東京女子のお作法のとおりでタッグパートナーとして、友として戦うことになった。恨みなしでまっすぐ戦った清々しい試合だった。
上福ゆきが朱崇花の身だしなみを整えてかわいいと油断させたところから、上福ゆきがチョップを決めるも朱崇花は重い張り手でやり返して、一気にピリッとなり、倒れている上福ゆきに対して「おめえ、こんなもんか」と言い放ち、ボディスラムで投げ捨てた上で踏みつけ「終わりか?」と挑発していく朱崇花が上福ゆきに火を付ける。
朱崇花と上福ゆきがビックブーツでやり合うぶつかり合いから相打ちで上福ゆきが打ち勝つ。最後は上福ゆきがダイビング式のフェイマサーを決めようとするも朱崇花が受け止めてのパワーボムからムーンサルトプレスで3カウントを奪った朱崇花のパワーボムとムーンサルトプレスのキレと重みは朱崇花の底知れない強さを感じさせるのに十分だった。
試合後に朱崇花がなんとも言えない表情で上福ゆきを見下ろしているのが印象的で、入場から試合が流れ、終わった後の余韻までいいものみたなぁと思わせる試合でした。
10 いつも以上にハリのある表情で黒基調のコスチュームで入場してきた朱崇花とオーラがいつもよりもある輝いている上福ゆき
20 上福ゆきの入場を見ている朱崇花の光と影のコントラスト
30 上福ゆきがチョップを決めるも朱崇花は重い張り手でやり返す
40 朱崇花と上福ゆきがビックブーツでやり合うぶつかり合いから相打ちで上福ゆきが打ち勝つ!☆
50 上福ゆきがダイビング式のフェイマサーを決めようとするも朱崇花が受け止めてのパワーボムからムーンサルトプレスで3カウント!
60 上福ゆきに対して勝利をしたもののどこか感慨深そうな表情を見せる朱崇花
YES! WONDERLAND 2022~夢の翼を広げ~ | DDTプロレスリング公式サイト
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小檜山 歩
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