2021年のN-1の開幕戦ということで久しぶりの生NOAH観戦に行ってみた。見ごたえある試合がたっぷりでいろいろ驚かされたのだけど、やっぱりメインイベントの濃厚さがたまらなかった。48才の杉浦貴の元気さもすごいのだけど、58才の武藤敬司が30分のメインイベントを戦い抜いたということの凄さがある。
GHCの王者としては陥落したさいたまスーパーアリーナ大会でもムーンサルトプレスをかますなど凄さを見せていたのだけど、王座から陥落してもなお、フルタイムの試合ができるのは武藤敬司のプロレスラーとして天才であることの証明であるようにも感じさせる。
メリハリと足四の字固めの説得力
ゴングと同時に攻めた杉浦貴に対してグラウンドの攻防からフラッシングエルボー、ドラゴンスクリュー、シャインニングウィザード、低空ドロップキックと決して数は多くないがそれぞれ武藤敬司らしさを持つ技で返していく。その中でも足四の字固めをかける時間が長かった。
武藤敬司の足四の字固めは、はるか昔にUWFインターナショナルとの対抗戦である10.9東京ドーム大会で高田延彦をギブアップさせてから武藤敬司の代名詞の技の一つになっている。1995年の大会で脚光を浴びた技を25年以上経った今でも必殺技として成立させており、観客を巻き込む凄さがあった。
グラウンドで技をかけている中でレフリーに「止めろ」と声をかけたり、気合を入れた表情と休憩をしているかのような表情を組み合わせることで見ている人を飽きさせないようにしている武藤敬司の上手さが光る。何度もギブアップするのではないかと感じさせるシーンがあった。
杉浦貴の重みもある技
武藤敬司の上手さが光る中でも杉浦貴も返していった。ゴングと同時に攻めて雪崩式ブレーンバスターにまで持っていく攻めの速さは迫力があったし、足四の字固めを耐えたうえでフロントネックロックの気合いの表情とエルボーの重みはさすがの説得力を感じさせた。
時間切れ前には美しい放物線を描くオリンピック予選スラムを決めて勝負合ったかと思いきや一度では決まらず、二回目は耐えられてしまって引き分けへのゴングが鳴ってしまった。武藤敬司という存在に対して同じぐらいの存在感を見せていた杉浦貴の凄さがあった。
引き分けだと少し物足りないと感じることもあるのですけどそんなことは全くなかった。 セミファイナルのバチバチの戦いに対してじっくり濃厚なプロレスを見せて会場全体が盛り上がり、幸福感を感じさせたメインイベントだった。
2021年09月12日 日 N-1 VICTORY 2021 ~NOAH NUMBER ONE PRO-WRESTLING LEAGUE~ | プロレスリング・ノア公式サイト | PRO-WRESTLING NOAH OFFICIAL SITE
小檜山 歩
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