久しぶりにジョン・ムーアのドキュメンタリーを見たけど、よかったというか、インパクトがあった。よかったと言えないのはこのドキュメンタリーで描かれている内容な真実の一部であってその真実の上に自分が暮らしているからなんだろう。
恣意的なドキュメンタリーと批判されるかもしれないけど…
ムーア自身の考え方が多分に入っていて、ストーリーも恣意的に作られていてメッセージも強いこともあって好きじゃない人もいるんだけど、私は見るべきものだと思って見ている。
大学の授業じゃないけど、映像として作られているもの全てのものには撮り手の主観が入っていて客観的な映像というものはないからムーアのスタンスの映画も見て、他のスタンスの映画も見て自分で受け止め方を変えればいい。そう思って見ている。
なぜヒラリーが負けて、トランプが…
女性初の大統領になると誰もが思っていたヒラリー・クリントンが負け、勝利演説の準備もしていなかったトランプが大統領になり、2年が経った。なぜ、トランプが大統領になったのかを突き止めるところから始まるけど、その先ではアメリカの民主主義を掘り進めていく。
ムーアのカメラは共和党だけでなく、民主党へも向く。それは政治が民主主義とかけ離れていることを現実として提示する。投票数が反映されない大統領選挙の制度への批判なんかはすぐに終わって政党の問題へ。
共和党だけでなく、民主党の古参議員、そして、オバマへも。大きく取り上げられるのはフリントの水道政策の大失敗に共和党だけでなく、民主党も決定的に動かないことから草の根の民主主義が動くこと、銃乱射によって同級生を亡くした学生たちの運動も大きくなったこと。
動くべきは…
この2つから政治に不満を持つ“わたしたち”、“あなたたち”が動くべきと言いたいのだろうと感じさせる。分断させられた市民が“政治”というシステムに対して行動をしないことで起こることが最後に訴えられて終わる。
最後のシーンは印象操作と批判されるかもしれないけど、実際にある時期のある場所で起こったことに重ねられる今の現実に気付かせるためには納得だった。
良質なドキュメンタリーは見た人に新たな刺激を与えて行動を起こさせると思うんだけど、そんな作品でしょう。日本も大して状況は変わらない。でも、草の根で何かが動いているわけじゃない。日本の方がやばいかも。
小檜山 歩
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