「みんなちがってみんないい」
多くの人が小学生の頃に聞いたことがあるであろうこの一節を思い出したビジネス書。
小学生の頃って大半のことは忘れているけど、なぜか覚えていることもある。冒頭の一節もそんな不思議と覚えていることのうちの1つ。
20世紀前半に生きた詩人である金子みすゞさんの詩の一節で小学校の頃によくしてくれた先生のクラスに飾ってあったことを覚えている。
なんでこの一節を思い出したのかというと、この本で紹介されている「違い」のマネジメントがこの一節に重なるからだろう。
「価値観の多様性」を認めたうえで「みんなが(同じように)できるようになること」を目指さずに「みんなが(それぞれに、今よりも、少しでも)できるようになる」ことを目指すマネジメントが紹介されている。
当たり前だろうと思われるけど、新入社員を会社の求める型にはめ込むことをやめない古くからある日本の大企業や昔ながらのマネジメントをしようとするマネージャーに求められていることなんだろう。
東大卒で心理学とマネジメントを学んで大手生命保険会社のマネージャーとして活躍している著者が自分のマネジメント手法である「違い」のマネジメントを紹介する。
「できる」の前段である「できない」現状の分類と対話による分析方法を紹介し、最後にマネージャーに対するメッセージで締めくくる。未だに力ずくのマネジメントをやっていて行き詰まりを感じ始めたり、昔ながらのやり方を変えたいと思っている人にオススメの一冊。
冒頭で引用した「みんなちがってみんないい」の文章は「私と小鳥と鈴と」という詩の一節で全編だとこんなに長い。
私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面を速く走れない。私が体をゆすっても、
きれいな音はでないけど、
あの鳴る鈴は私のように、
たくさんな唄は知らないよ。鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。
大人になって改めて読んでみると心に染みる気がした。あまちゃんだと思われるかもしれないけど、この詩に出てくるようなマネジメントがしたい人は一度読んでみてはいかがでしょう。
【参考リンク】
私と小鳥と鈴と
http://www.h2.dion.ne.jp/~apo.2012/misuzu06.html
【手に入れたきっかけ】
「本が好き」というサイトの献本キャンペーン!
【オススメ度】
★★★☆☆
小檜山 歩
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