ロシアというよりも、昔ソ連だった国々のなんとも言えない空気感が伝わってくる。そして、他の国を見てきた目線で日本を捉えなおす。ロシア語の通訳者として有名な女性のコラム集。1950年生まれということもあり、文体は固い。昔の教養人が書く文章とでも言えるかもしれない。
この人の本で有名なのは仕事である通訳•翻訳について書かれた『不実な美女か貞淑な醜女か』だろうか。大学の通訳の授業で課題図書になるくらいの一冊。
私も大学時代には通訳の授業をとっていたので読んだが、頭から最後まで通訳•翻訳に関するエッセイが詰まっている。国際舞台で実際に活躍していた通訳なので、国際政治の臨場感を感じられる本だった事をおぼえている。
対して、こちらの本は通訳•翻訳にそこまで大きなページを割かない。もちろん、二つの言語の架け橋になる事をライフワークにしてきたので、エッセイを書けば言語に関するネタはたくさん出てくる。題名になった「心臓に毛が生えている理由」も通訳の苦労話から派生した話から来ている。
ただ、この本で目立つのはチェコで過ごした幼少期の頃の話。図書館にいた怖いドラゴン先生によって学んだ力やプラハの学校で受けたテストと日本で受けたテストの違いに驚いた話など。そして、その頃と今の日本のテストが変わっているとは思えない。
固い文体であることは確かなんだけど、内容はとっつきやすく、勉強にもなる。これこそまさに教養なのかもしれない。ポッと文章にルソーのコトバが出てきて、それが文脈にハマってる。こんな文章を書いてみたいと思わせる。たまには、古典でも読もうか。
【引用】
「若くて美人だけど、通訳としての腕はあまり高くない人と、さほど美人でもないけれど、達人の通訳者とどちらがよろしいでしょうか?
「子供をスポイルするのは簡単だ。彼が欲しがる玩具を全部買い与えてやるがいい」
冷たくて計算高くてシニックな人間というのは、真に残酷なことはしないんですね。底なしのお人よしほど残酷になれる。
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小檜山 歩
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