人生のどこかにある大きな忘れ物を取りに行きませんか?
人はだれでも(特別若くない限りは)大きな忘れ物を人生のどこかに置いてきているだろう。それは身近な人の所だったり、一瞬しか交わらなかった人の所だったり。でも、ほとんどの人は身近な人の所に忘れ物をしていることの方が多いのではないだろうか。
そりゃ、取り戻したい事や、やり直したいことなんかいくらでもあるだろう。24歳(あ、誕生日を迎えたので25歳になったんだった。このくらいになると誕生日とかそんなに大きな出来事じゃなくなるって本当なんですね)の自分にも忘れ物がたくさんある。
学生の頃にもっとちゃんと勉強しておけばよかったとか、初恋・初カノとはもっと長く付き合えたんじゃないかとか、もっと友達と仲良くしておけばよかったとか、あのサークル運営はもっとうまく出来たんじゃないかとか。でも、この中に一番大きな忘れ物はない。分かっているけど、手に取ることを避けている忘れ物が目の前にある。
いつか、この忘れ物と向き合わないといけない時が来る。その時はそんなに遠くない。その時は忘れ物を忘れ物のままにしないようにしよう。
ただ、この物語の主人公には忘れ物を取りに行く時間が限られてる。脳腫瘍ステージ4、あと数日の命。死ぬことに驚いている主人公の目の前に悪魔が現れる。悪魔が語りかけてきた。自分があと1日の生命だということを。そして、何かを世界から消すことで自分の寿命を一日伸ばすことが出来るということを。
まず、悪魔との取引で電話が消えた。電話が消えたことで1日の寿命を得た主人公はその1日を使って人生でやり残したこと、死ぬ前にやっておきたいことをやり始める。そんな日々が続き、消えたものと、目の前に現れる人生の残骸に触れながら人生に蹴りをつけ始める。そこで最後に見つけた忘れ物は何か。心ではわかっているけど、向きあうのが難しかったものは何だったのか。ぜひ、確かめてほしい。
映画から引用したセリフも含めて、この本には心に残しておきたい言葉が結構詰まっている。主人公が書いた死ぬまでにしたい10のこととは違う、主人公のお母さんが書いた死ぬまでにしたい10のことは心を震わせた。確かにありきたりとか、お涙頂戴なのかもしれないけど、心が震え、涙が止まらなかった。
この文章を読んで、泣ける大人でいたい。すぐじゃなくてもいいから、忘れ物は忘れずに取りに行こうと思う。忘れ物を忘れたままにしてしまったらそれは忘れ物ですらなくなってしまうかもしれないから。
【引用】
本物の悪魔は顔も黒くないし、尖ったシッポもない。槍なんて絶対持っていない。悪魔は自分の姿をしているのです。ドッペルゲンガーの正体は悪魔だったのだ!
「何かを得るためには、何かを失わなくてはね」あたりまえのことだと、母さんは言った。人間は何も失わずに、何かを得ようとする。それならまだいい。いまは、何も失わずに、何もかも手に入れたい人ばかりだという。でもそれは奪う行為に他ならない。だれかが得ているそのときに、だれかが失っている。だれかの幸せは、だれかの不幸の上に成り立っているのだ。
プレゼントは、物そのものに意味があるのではなく、そのプレゼントを選んでいるときに、相手が喜ぶ顔を想像している、その時間自体に意味があるのと同じように。
「人生は近くで見ると悲劇だけれど、遠くから見れば喜劇だ」その男は僕に言う。シルクハットに大きめのタキシード姿で、スティックを振り回しながら。沁みる。いまの僕には、その言葉がとても沁みるよ。僕は想いを彼に伝えたいが、言葉にならない。続けて男は言う。 「死と同じように避けられないものがある。それは生きることだ」
大人になって得たものと失ったもの。もう二度と取り戻せない、感動や感情。そのことを思うと、なぜだか無性に悲しくて涙が止まらなかったのだ。
家族って「ある」ものじゃなかった。家族は「する」ものだったんだ。僕らはただ血がつながっているだけの、ふたりの個人だった。それなのに、僕らはお互いに甘えて、甘んじて、気が付いたときにはもうどうしようもないところまで来てしまっていた。
〝死ぬまでにしたい10のこと”〟便せんの1枚目には大きく(でもとても美しい字で)そう書かれていた。思わず拍子抜けする。親子でおんなじことしてら。僕は笑いながら、2枚目を見る。もう私の命は、あとわずかだと思います。だから、私が死ぬまでにしたい10のことを考えてみることにしました。旅行に行きたい、おいしいものを食べたい、オシャレしたい……いろいろ書き出していくうちに、私は思いました。私が死ぬまでにしたいことは、本当にそういうことなのかと。それで改めてゆっくりと考えてみたら、気付いたことがありました。私が死ぬまでにしたいことは、全部あなたのためにしたいことだったのです。あなたの人生はこれから何年も続くでしょう。辛いことや、悲しいこともたくさんあると思います。だから、私はあなたがこれから生きていく上で、辛くなったり、悲しくなったりしたときに、それでも前を向いて明日を生きていけるように、あなたの素敵なところを10個伝えておきたいと思います。そしてこれをもって、私の“〝死ぬまでにしたい10のこと”〟に代えさせてもらいます。あなたの素敵なところ。
「明日死ぬかもしれないと思う人間は、限られている時間を目いっぱい生きるんだ」 かつて、そう言った人がいた。でもそれは嘘だと僕は思う。人は自分の死を自覚したときから、生きる希望と死への折り合いをゆるやかにつけていくだけなんだ。無数の些細な後悔や、叶えられなかった夢を思い出しながら。
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小檜山 歩
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