ピラミッド型企業の終焉が21世紀中には訪れるかもしれない。
ロンドン・ビジネス・スクールの客員教授である著者が、これからの厳しい環境において生き抜くことが出来る組織を築く方法をまとめたビジネス書。
概要をまとめるとすれば、この2つだろう。
1:従業員の熱意で動き、自ら管理する企業がこれから生き残る。
2:そのためには階層組織を解体し、階層のない組織を築き上げないといけない。
どちらも、従来のマネジメント手法からは外れているし、実際の多くの企業とも異なっている。
現実の企業は従業員をピラミッド型の組織で管理し、1人1人を企業の求める従業員に仕立てあげることで業績向上を目指している。
マネージャーの間ではどうやって上手く従業員を管理すればいいのかが盛んに議論される。
その時代は終わった。
マネージャーが従業員をどう管理するのかではなく、マネージャーがいなくてもどうやって組織を回していくかを考えないといけない時代になってきた。
もちろん、すぐにマネージャー職を全てなくすことは出来ないし、混乱を生む。
ただ、権威を振りかざせば部下が付いてくる時代ではなくなった現状では、今までとは違うマネジメント手法が必要になってきている。
これからのマネジメント手法のヒントをこの本から読み取ることが出来る。従業員の熱意で動く組織とはどんな組織か、それを形作るにはどうすればいいのかなど、事例と共に紹介する。
企業の組織を考える際に参考になる一冊。
【キーワード】
イデオロギーがかつてなく重要
デザイン思考は観察、試行錯誤、試作品づくりという三つの柱からなる
【引用】
この本はひとつのことについて書いたものではない。リーダーシップ、チーム、イノベーションを扱った、四〇〇ページにわたる論文ではない。むしろ、容赦ない変化、熾烈な競争、飽くなきイノベーションを特徴とする世界を勝ち抜く組織を築くための、多面的な課題を取り上げる。
卓越した偉業とは、美、真実、叡智、正義、慈善、忠義、喜び、勇気、名誉といった時を超えた価値のために熱心に尽くすことから生まれる。
会社での日常はこれでもかというほど通俗的で、実利を重んじる決まりきったことの繰り返しであるため、崇高さをまとうものを持ち込むのは、あたかも売春宿で聖書を読むかのようにひどく場違いに感じられるのである。
(第三に、)使命を何より重視するとよい。ともすると、時の経過とともに機能よりも形式を重んじ、施策と目的を混同してしまいがちである。
たいていのマネジャーは社員の熱意を引き出すどころか削ぐ傾向が強いというデータについて、なぜ私たちは無頓着なのだろうか。現行のマネジメントの仕組みが偉業の達成を促すどころか妨げる傾向が強くても、なぜ少しも怒らないのだろうか。
熱意を引き出すには以下の三つが欠かせないと指摘する。学びや進歩の可能性(成長の機会はあるか)、「世界を変える」という評判と誓いが会社にあるか(途方もない努力をするに値する使命があるか)、組織のリーダーの行動と理念(人望があるか、みんなが「ついていきたい」と思う人物か)
生まれながらのリーダーは自然とリーダーシップを示しますし、命令や解雇の権限など必要としません
上司によるマネジメントと自主管理のどちらかを選ばなくてはならないのである
世界中のマネジャーがこの一〇年、自社の業務慣行から非効率を取り除こうとしてきた。彼らは今、マネジメントそのものが非効率の塊だという事実と向き合う必要
古めかしいピラミッド型組織は、人々の気力を削ぎ、望む方法でできるかぎりの貢献をする道を閉ざしてしまっている」。これは、HCLTのテクノロジーに詳しい若手社員に特に強く当てはまった。ウェブに親しんで育った彼らは、協働を大切にし、階層制に疑いを抱いていた。
【手に入れたきっかけ】
KIndleキャンペーン!
【メモ】
能力のピラミッド
「管理する」から「解き放つ」へ
階層のない組織のメリットと問題
【オススメ度】
★★★★☆
小檜山 歩
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