ジョブ型やコロナ対応など様々なテーマがある人事の中で常に語られているのが「グローバル化」で日本の企業が世界で戦うための人材戦略を人事は考えていかないといけないし、中期経営計画では多くの会社で触れられるテーマだったりする。
ただ、中計などで語られているものを実際に実行に移すことは難しい中でどうやって実行に移すのかを考える際に考え方のベーシックな背景とフレームを得ることができる本になっている。
人事のグローバル化に求められるのは、日本企業で行われてきた人事施策を「人材の多様化」「人材需給のグローバル化」「人材の流動化」という三つの変化に対応したものにいわば”バージョンアップ”していく作業
『人事こそ最強の経営戦略』(南和気)
人事を取り巻く環境が変化している中で対応するべき背景が提示される。その上で、人事をグローバルにしていく上で3段階のグローバル人事モデルが提示される。セントラル人事、マルチナショナル人事、インターナショナル人事という3つの段階を提示し、自社がどこにいるのか、どのような形を目指せばいいのか、どのような取り組みをしていく必要があるのかをか考える取っ掛かりになっている。
その上でグローバル人事に挑戦するとする上でハードルになる要素を日本の人事がずっと持っている3つの課題として挙げている。その三つとは結果人事、主観人事、密室人事でこれらを計画人事、客観人事、透明人事に変えていくことに取り組まないといけないと指摘する。
この三つの課題は人事自身だけではなくて大企業で働く多くの人が感じている人事の現状を表している言葉としてしっくりくるのではないだろうか。すぐにハンドルを切ることはできないのかもしれないけど、少しずつ方向転換をしていくことは取り組むことができるだろうし、どのように取り組めばいいのかのヒントもあるのでぜひ読んでみてほしい。
この本の中で人事という機能について考えるだけでなく、人の価値をどう捉えるかについてもひとつの考え方が提示されていてこれは手元に置いておいてもいいのかもしれないと思わせる内容があった。
人の価値は「スキル」「経験」「モチベーション」の掛け算で評価
『人事こそ最強の経営戦略』(南和気)
新人若手は「モチベーション」、中間管理職は「スキル」、経営者は「経験を重視」
会社がどのように人をとらえて考えていくのかと言う尺度なので一般的に社会の中で生きていく妻の価値とは異なると思われるが、評価であったりキャリアを考える上でも人事以外の人が意識すべきことなのかもしれない。やる気や誠実さなどの「モチベーション」によって評価されるのは若手の頃だけであり確固たる「スキル」を身に着けて高めていく必要があるということを1人の社会人としても意識させられる内容だった。
【オススメ度】
★★★★☆
小檜山 歩
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