日本の昔ながらで、会社内の評判も悪い人事部変革物語を核に置いたビジネス小説 『人事が変われば、会社は変わる』(香本 裕世)【本・人事】

 

 

人事について考えるのは自分について考えること。仕事の自分へのフィードバックフィードバックにもなり得る価値のあること。

従業員のキャリアについて考えるときには自分のキャリアに向き合い、評価について考えるときには自分の仕事への向き合い方や評価について再考した。上司と部下の関係について考えるときには自分の上下関係についても考える。

傾聴のスキル一つとっても、自分は足りないけど、パートナーの傾聴スキルを見直したりと、いろんなことが駆け巡る。

ここ最近、人事の面白さに改めて気付かされる毎日です。そんな中で出会ったうちの一冊。

人事については全くの素人なので、買い漁った本のウチの1冊。人事の定型業務については他にいい感じの本があるので、そちらに譲るとして、人事を今までの人事からこれからの人事に変える方法を学びたい人にはとてもオススメです。

ビジネス小説になっていて、方法論を順序だてて読むことが出来ます。

これからの人事とは、制度作りと管理業務だけを行う人事ではなく、経営のベストパートナーとなり、社内顧客思考で、現場支援型となる人事を指す。

この本は中小メーカーを舞台に、日本の昔ながらで、会社内の評判も悪い人事部変革物語を核に置いたビジネス小説で、人事をどう変えるのか、会社をどう変えるのかが語られていきます。

人事の考え方や行動原理までを日常の業務や人事部次長の姿から読み取れるので、昔ながらの人事部とどう付き合っていけばいいのかの参考にもなりそうです。

人事を考えることは自分について考えること。人事は自らの人事について考えることから。

【引用】

笑顔のよい人間はよい意味で自分に自信を持っているのだと山口は思っている。いわゆる「ベーシックトラスト(子供のころに培われた親への信頼感)」から派生している。

人材開発担当でも、現場に出かけてこそこれが可能になるのだ。研修事務局として研修計画表を作り、外部講師に依頼して研修立ち会いをやっていては、社員の生の声は聞こえず組織が抱える課題も見えてはこない。矢澤は人材開発グループの若手には、ぜひとも早い時期にこういったインタビューの場を経験し、現場型人材開発の感覚を養ってもらいたいと改めて思った。

人といっしょにいて沈黙を不自然なく共有できるようになれば、それは信頼関係が進んでいる証拠だ

ぼくらの行動は、ぼくら自身の興味・関心・欲求・動機なんかがベースになって無意識的にやりたくなる『自然行動』と、上司の指示命令など、組織に所属することによって意識的にやらなければならない『修正行動』とに分類できるけど、この二つのバランスは大切だと思う。

マネジメントの重要な要素のひとつは、管理職の方ご自身がどのように時間を感じ、使っているのかという個人のキャリアの問題でもあるのです。

「傾聴」。もっとも大切なことは、「相手のために聴く」ということだ。しかし、われわれは一般的に他人の話は聞きづらい。理由はわれわれの内的世界が違うからだ。

人事部が制度づくりと管理業務を目的にしてしまっているなら、人事部を丸ごとアウトソーシングしたほうが経営効率はよいだろう。また、経営サイドに寄りすぎて社員の気持ちを汲まない「成果主義」推進型の人事政策を戦略人材マネジメントと呼んだとしても、社員、ラインマネージャーにそっぽを向かれてしまっては業績に寄与しない。

まず人事部自体が社内顧客志向でものを考え、現場支援型になり、問題解決請負型として機動的に動ける部門に変化するしかないのだ。その意味でも、七月以降の谷川次長の変化は、まだ始まったばかりとはいえ山口にとって嬉しいものに違いなかった。

【手に入れたきっかけ】

人事について学ぼうと買い漁った本のウチの1冊。

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小檜山 歩

コンサルタント日系総合コンサルティングファーム
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。
小檜山 歩
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。