9回裏、ノーアウトランナーなしからゲームセットまで 『20』(堂場 瞬一)【Kindle・本】

 

 

仕事だが、仕事ではない。そうでなければ、こんなに長くは続けられない

自分の仕事をこんな風に思えたらもっと楽しくなるかも。仕事は時間を切り取りして対価の給料を受けとることだと思っている人は多い。

それだけじゃ味気ないでしょう。

 

人生で寝ている時間と同じかそれよりも多い時間かけることになる仕事だからこそ、ただお金をもらう手段ではない何かを求めても悪くないと思わせてくれたのが冒頭のセリフ。

この作品で描かれるプロ野球の世界は職場ではあるが、それを超える場所でもある。子供の頃から白球を追いかけ、夢にまで見たプロ野球の世界、野球をしてお金をもらえる喜びは野球を仕事以上のものにしてくれるのかもしれない。

そんな職場の真っ只中、9回裏の物語

9回裏、ノーアウトランナーなしからゲームセットまで

この物語は公式戦で最終回、ノーアウトランナーなしからゲームセットに至るまでが描かれる。普通の試合だったら5分足らずで終わることもある時間が一冊の小説になっている。

ノーヒットノーランまであと3人となったのはルーキーで今年初先発の投手、有原。7つのフォアボールを出し、敵味方をイラつかせながらも最終回までこぎつけた。

無事、ノーヒットノーランを達成することは出来るのか、それとも打ち砕かれてしまうのか。そんなシーンに渦巻く様々な人達の思いが描かれている。

1球で人生が変わる

物語に出てくるのはノーヒットノーラン目前のピッチャーと同じグラウンドに出ている選手だけではない。それぞれのベンチにいる監督やコーチ、スタンドにいる観客、遠くラジオを聞いている料理屋の店主まで様々な人の目線で物語が描かれている。

この試合に集中している人もいれば、試合そっちのけで考え事をしている人もいる。なんとなく、この試合に関わらざるを得ない人もいる。試合と関係ないことを考えている人と必死で打者に向き合う投手のコントラストが鮮明に写し出される。

いろんな思いがグラウンドに集約され、それぞれのこれからに返っていく物語が9回裏の攻防に集約されてる。

最後は読み進めている中でのモヤモヤもスッキリしてくれるはず。前に読んだ同じ作者の野球小説『ラストダンス』の設定も引き継がれているのでその部分も楽しめるでしょう。

【手に入れたきっかけ】

以前に読んだ『ラストダンス』と同じ作者の作品がキャンペーン対象になっていたので購入!

【オススメ度】

★★★★☆

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小檜山 歩

コンサルタント日系総合コンサルティングファーム
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。
小檜山 歩
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。