「ある男」の人生にのめり込んでいく。早くして死んでしまった「谷口大祐」という名前の男の過去を弁護士が辿っていく。かなりの早いタイミングで「谷口大祐」という名前は違っているのではないかという疑問が挙げられることで「X」と名前を変えたある男について調べていくのは弁護士である城戸さん。ある男を調べてほしいと言ってきたのは結婚して子供とともに幸せだった妻であり。 何で名前が違うのかの想像がつかない優しい妻であった。
城戸さん自身は弁護士として仕事をしていく中で、在日認定される日常を送っているとともに、仕事と家庭に集中してほしいと妻に言われる中でもある男の人生を調べていく。そうなった理由は在日に関して妻と折り合いがつかない難しさだったり、”社会的な優しさ”への冷たさへの違和感があった。妻からの「仕事と家庭の往復だけで満たされないのか」という投げかけに対して変わることができない自分がそこにはある。「嫌中」、「嫌韓」本を真面目な出版社が出すようになっていることに対する優等生的な反発に自覚しつつも気になってしまうある男にういて調べていく。
調査を進めていくことによってある男が背負っていた過去が見えてくる。とある殺人事件に関わっている可能性がある中で城戸さんは妻や息子が殺されてしまった時にどう考えるのかということを考えさせられる。被害者遺族と加害者遺族に関することを考える時にもし自分の家族が殺されてしまったとしても、殺されたからといって相手を殺すべきではないと倫理的に考えるべきという弁護士らしい発言をする城戸さんと妻の関係の難しさがはっきりと見えてくる。
そんな自分や家族との問答を経ながらある男について調べていく物語は現実世界の影に光を当てているように感じさせる。ある男も城戸さんも100%の幸せも100%の絶望もなく、目の前の現実に対してその時々に考えながら自分を変えたり変えなかったりしてできる限り生きていく物語だった。ある男にも城戸さんにも自分はなり得るのかもしれないという生々しさがこの物語の魅力だった。
【手に入れたきっかけ】
Kindle Unlimitedの対象だったので
【オススメ度】
★★★★☆
小檜山 歩
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