年始恒例の新日本プロレスのイッテンヨンは家で配信を見ることが多くなっている。今年も家でのんびり見ていたのだけどケニー・オメガは劇薬であることを改めて感じた上でアントニオ猪木追悼興行として成立していた。
アントニオ猪木追悼興行なのにメモリアルマッチが0-3試合ということで物議を醸していたのだけど本戦は今の新日本プロレスを見せるのだろうなと想像していた。メモリアルマッチの後に藤波辰爾が「1、2、3、ダー!」をやったのは嬉しくなり、追悼はここだけかなぁと思っていたら違った。メインイベント後にオカダ・カズチカが「1、2、3、ダー!」をして大会を締めたのがらしさとしてよかった。
試合では新日本らしいジュニアの4WAY、ケニー・オメガとオスプレイのUSヘビー、オカダ・カズチカとジェイ・ホワイトのIWGP世界が特に印象的だった。
団体のカラーが出たジュニアの4WAY
年末にDDTのTDCホール大会があり、セミファイナルに4WAYがあったので対比して見ている自分がいたのだけど、大きく違うところがあった。DDTは4人の攻防を見せていて、4人や3人が一つの技に絡んでいたし、違う場所で戦いが2つ起こるのは少なかった。
フィニッシュも3人の技の掛け合いの中で生まれていた。新日本プロレスは1対1の戦いを重視していて戦いが2つ起こることも多いし、2人の技の掛け合いが出ているメンバーを変えて起こるのかなというような戦いだった。団体のカラーってこういうところに出るのかなぁと思いつつ戦いの中で誰が勝つのかわからないハラハラした試合で見応えがあった。
劇薬のケニー・オメガがウィル・オスプレイを引き上げていった
ケニー・オメガが新日本プロレスをさる試合の対戦相手だった棚橋弘至が語っていたことを思い出す試合だった。ケニー・オメガを中心とする過激な技の応酬と長時間の戦いの中で選手たちがすり減っていることを指してプロレスはタフガイコンテストではないとインタビューで話していてケニー・オメガのプロレス観との相違を感じさせていた。ケニー・オメガも名を得るために自分の売りであるタフガイコンテストを突き詰めていた中だったのだろう。実際、AEWが軌道に乗った後には休養を取っていた。
そんなことがあった先でケニー・オメガが新日本プロレスに帰ってきて相手はケニー・オメガのタフガイコンテストに乗っかることができるかもしれないウィル・オスプレイでどうなるのか楽しみな一戦だった。メインイベントでオカダ・カズチカが勝つだろうと思っているのと違ってこのカードはどちらが勝つのかも読みにくくてそれも試合に引き込まれた理由かもしれない。
試合は新日本プロレスにおけるケニー・オメガ全盛期を思い出すような試合で危険技の応酬の果てに片翼の天使でケニー・オメガがウィル・オスプレイからフォール勝ちを奪ってUSヘビー級王座を獲得した。いっときのタフガイコンテストと比べると時間も短くなってメリハリはあったのかもしれないけどお互いがお互いを高め合った結果の技の応酬は劇薬で見る人の印象に強く刻み込まれた。アクシデントを感じさせるウィル・オスプレイの出血量も心配になりながら、確かな凄さを見せた試合でケニー・オメガの凄さが際立ってしまった。
オカダ・カズチカとジェイ・ホワイトは違った重厚さ
ケニー・オメガの試合が数年前の流行りだとしたらその先としての戦いを見せたのがジェイ・ホワイトでセコンドの介入と戦いの中で受けないのだけどプロレスらしさのある攻防を発明してタフガイコンテストではない試合を見せていた。
オカダ・カズチカのレインメーカーに対してかわすか返し技をするのが基本の中で立ち上がらないという動きで技を交わしたのはこの人が初めてかもしれない。若手だと動けない練習不足と言われかねない動きが認められているのはこの人の強さと戦い方を観客が認知しているからで認知させたジェイ・ホワイトはケニー・オメガとは違うかもしれないけど戦い方を確立できた1人なんだろう。
そんな新しい戦い方を苦手として1勝4敗の対戦成績だったオカダは変わらない王道の戦い方で相手に合わせながら説得力のある試合を見せて勝ち切った。イッテンヨン、アントニオ猪木追悼興行ということもあってオカダが勝つだろうと思っている中でもあわやと感じさせる瞬間が何度もあってさすがの安定感のある試合で、完全にケニー・オメガに食われることも想像している中で違う戦いでそれぞれの価値を見せていた。
さまざまなテーマがある中でジュニアは4WAYでヘビーとの違いを見せた上でヘビーは色の違う2つの試合で最上級の試合を見せた。そんな今の新日本プロレスの濃い部分をザッとまとめて描いた試合でした。
WRESTLE KINGDOM 17 in 東京ドーム – 東京・東京ドーム | 新日本プロレスリング
https://www.njpw.co.jp/tornament/375143?showResult=1
小檜山 歩
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