体罰問題について、その2。
前回、人は本当に体罰だけで死を選ぶのかということについて書いた。
今回は体罰だけで人は自殺をしないというのであれば、何が原因で死を選んだのかということについて考えてみる。
文科省「この4年間でいじめ原因の自殺は15件」―原因不明は353件
http://matome.naver.jp/odai/2134209257215308901
このまとめの内容からも分かるように、自殺の原因は多種多様で、「体罰だ!」と1つの点だけを取り上げてしまっても、実態を写していない。原因がはっきりしない自殺が多くの割合を占めているのだ、というよりも、人が死ぬときに一つの理由で死ぬだろうか。いろんな理由が重なりあって死を選ぶと考えたほうがしっくりくる。
今回の件は、下記の点がポイントではないか。
- 実際にバスケットボール部部長である自殺した男子生徒へ先生からの暴力はあった
- 通っている体育科では部活に出ないと単位がもらえない
- 実績は部活動の結果の方が重んじられる
現場で実際に知った事実ではないが、この問題を報じている内容からこれらについては信憑性が高いと思われる。
本当に体罰だけが原因なのか。
体育会系の部活の場合、文化系の部活よりも、体罰は激しいだろう。自殺した男子生徒は見た目で分かるくらいに体罰の跡が残っており、両親にも体罰の辛さを話していたようだから、体罰が原因ではないとは言えない。
しかし、その体罰が起こり、生徒が死んでしまった原因を更に深いところまで探ってみる必要があると思うのだ。
また、体罰だけではなく。言葉の攻撃や周りのチームメイトの状況などが生徒の死に全く影響を与えていないと考えるほうが難しい。
ここで思うのは
- 激しい体罰を生み出してしまった環境こそに問題があるのではないか
- 体罰に付随した言葉の責めなども自殺を引き起こした原因として上げることが出来るのではないか
ということである。
体育科ではなく、普通科の部活動であれば、恐らくここまで激しい体罰は起こらなかっただろうし、もし、そこまでの暴力が行われていたとしたら、親などから問題が表面化していただろう。今回の問題は「部活動に力を入れている学校の体育科バスケットボール部」だからこそ、起こった問題ではないだろうか。
昔懐かしい学校生活から思い出すことはスポーツ推薦や学校が力を入れている部活動には一般的な部活動とは何か違う空気があった。その空気は一般的な部活動では起こり得ないことが許されている。極端な上下関係や実力主義、そして、体罰。
この体育会系部活動という場があり、そこにある空気は他の場とは違う。そして、日常では許されないことがその場では許されてしまい、この出来事が起こったように思えるのである。
空気は人を変え、人を殺す。ただ、この日常とは違う空気を作り出した原因を探らないことには体育会系部活動批判、ひいては体罰批判に終始してしまう。それを避けるためにもう一つ奥を次の更新で考えてみたい。この日常とは違う体育会系部活動の空気感がなぜ、作られるのか。
考えるヒントになりそうな記事をみつけたので、載せておきます。
「桜宮高校バスケ部キャプテンの自殺の原因は「体罰」ではない」-Business Media 誠
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1301/15/news022.html
小檜山 歩
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