「闇雲に活字を追うだけの貧しい読書から、味わい、考え、深く感じる豊かな読書へ」
なるための一助としてスロー・リーディングを強硬に勧めてくる。
そんなに押し付けるな!と思ってしまった一冊。
ちょっと前に豊崎由美さんの『ニッポンの書評 (光文社新書)』という本を読んで、
書評の書き方について考えた。そして、今でも1日1冊ぐらいは本を読んでいる。
でも、本の読み方を考えたことなんかあんまりなかった。自分なりのやり方で
読んでいた。だけど、少し考えてみよう。
1日1冊というほどほどに速いペースで読んでいる自分とは違った意見の本を。
と思って買った1冊。「スロー・リーディング」ですからね。
「スロー・リーディングの実践」と「アンチ速読」を基本方針に掲げ、
なぜ、スロー・リーディングが大切なのか、速読はなんでダメなのか。という話から入り、
スロー・リーディングの方法を説明していく。
最後には、夏目漱石の『こころ』、カフカの『橋』、川端康成の『伊豆の踊子』などなどを
スロー・リーディングで読むとどのように読めるのか。
というケーススタディを行っていく。
筆者のスロー・リーディングへのこだわりはかなりのモノで、
「速読家の知識は単なる脂肪」とまで断罪する。
これは筆者が元々作家であることに端を発していて、物書きとしての本の読み方を
大切にしているからだろう。
ビジネスの世界では、確かに速さが求められる。しかし、不正確であるということの
リスクを回避し、訂正に費やす労力を考えるならば、
速さよりも、丁寧さを誰もが優先するだろう。(P52)
という言葉には少しクエスチョンマークが出てくるとともに、
ビジネスを本当にしたことがあるのか?とまで思ってしまう。
スロー・リーディングを全否定する訳ではない。作家の方がどう考えて
文章をつづっているのか、文章を読むときにどんなことに注意して読んでいるのかを
「疑問文は要注意」・「違和感の大切さ」・「誤読力の活用」など、1つ深めた読み方を
説明しているのは参考にしてもいい。でも、やりすぎではないか。と思うぐらい、
速読全否定、スロー・リーディング全肯定には、時間のある世間知らずな小説家が
自分の読み方を押し付けようとしている。と感じます。☆3つ。
本の読み方の1つの考えとして捉えれば良い。
本の読み方を考えたい人、自分は本を読んでいても
中身が入ってこないという人にはおススメ。
かなり、偏っているからこそ、参考になる。
でも、あくまでも1つの意見である。ということを強調しておく。
思うことがあったり、良いと思ったり、反論があったり、おかしいと思うことがあったり、質問があったり、言いたいことがあったり、
同意があったりしたら反応をして頂けると幸いです。なるべくというより出来る限り私も反応します。
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小檜山 歩
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