馬や騎手の物語ではなく、馬券を買う側の物語。 甲斐谷忍『ウイナーズサークルへようこそ(1)』

 

どこかのギャンブラー作家、確か森巣博さんだった気がするけど、カジノは最も儲かる確率が高いギャンブルだとか書いていた気がする。控除率、売上のうち胴元に入る金額の割合、が他の賭け事と比べて低いからだとのこと。そして、この物語に出てくる競馬もそれなりに控除率が高い。内容から引用すると、宝くじが45%で競馬は25%、大レースについては20%のこと。つまり、宝くじが賭け金の55%しか賭ける人たちに入らないのに対して、競馬では75%~80%もの金額が賭ける人たちの手に入るのである。

そんな競馬で財を成そうという人の物語を『LIAR GAME』(ライアーゲーム)の書き手が描く。

マンガ家を目指すも、マンガの才能がないと切り捨てられ、落ち込む山川七雄(やまかわななお)。怪しい鼻毛が出ている占い師に勧められた先には競馬場。そこで出会ったのは可愛い女の子と、女の子が入っている競馬で儲けようとする人たちのグループ、ウイーナーズサークル。七雄はウイーナーズサークルに入り、競馬の道に進んでいく。

七雄は競馬素人ながら、他の人が全くわからない、馬の細かい違いが分かる能力がある。馬をパッと見て、スマップの中居と温水洋一ぐらいの違いがあるとまで言える。マンガ家を目指してきたからこそ、物を捉える力が養われてきたたまもの。ただ、凄い力に気付かない七雄と七雄の力を使おうとするウイーナーズサークルのメンバー、そして、競馬に関わる人達。

この世に数ある競馬予想サイトのからくり、サイトに載っている万馬券の写真の出元、本当に競馬で儲けている人はいるのか、そして、儲けている人はどう暮らしているのかの豆知識も含まれている。

まだまだ、話は始まったばかり。競馬は奥が深い。『みどりのマキバオー』や『風のシルフィード』など、馬と騎手の物語は多い。馬や騎手の物語ではなく、馬券を買う側の物語。

【引用集】

競馬場には宝物がある…これは真理だ。(28)

 

 

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小檜山 歩

コンサルタント日系総合コンサルティングファーム
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。
小檜山 歩
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。