前回と前々回は昔のクーリエらしい、ビジネス書から脱した特集でいいと思った。でも、今回の特集は「貧困、環境問題、教育格差・・・ 「より良い世界」を“仕事”で作る!」で、クーリエがやるべきではないんじゃないかな。と思う。
少しがっかりしたけど、前の2回のプラスがあるから大丈夫かな。とも思い、読んだんだけど、それなりに期待に応えてくれた・というか、特集以外に良い記事が多くて、それをカバーしている。☆4つ。
基本的に世界のソーシャルビジネス、社会の発展、問題の解決に資することを通して、利益を上げるビジネスの紹介を特集では行っている。けど、他にもありそうだなぁ。と思ってしまった。まあ、自分は見たことはなかったし、ソーシャルビジネスの具体的な方法についての記述は参考になった。
途上国でのマイクロファイナンスとITの結びつきは、大きなヒントになった。
また、いつもの様々なコラムは期待通りだし、「ナニー」というお金持ちの家庭教師のような仕事を行う人についての語りは、資本主義の欠点を再確認させる。
その中で、アップルの新CEOである「ティム・クック」が行った講演を書き起こした
「T・クック 母校での“感動”スピーチ 自らの直感を信じて最大限の努力をせよ」(P91)
という記事と、ハーバード大学生のキャンパスライフを取り上げた
「学業も課外活動も150%の全力で! ハーバード大生たちの「超人的」キャンパスライフ」(P120)
という記事の2つが素晴らしかった。
この2つにお金を払ってもいいと思える。
「T・クック」の講演録は、偉大な人物を引き継ぐ人間として、ジョブズとは異なった魅力を醸し出していて、直感の大切さと、それを意味あるものにする方法を分かりやすく、心のこもった言葉で語っているように感じる。
また、ハーバード大生のキャンパスライフについては苛烈なハーバード大生と、大学の授業に真面目に出席して参加しているふりをする傾向を強めている日本の今の大学の現状をつなげて考えさせられた。自分が大学に居る四年間でもその傾向が強まっていることを感じたから。
そして、あるべきかもしれない大学生の姿勢を考えさせる多くの記述があるので、2つ紹介する。
1つめはある自分の友人に本当に読んで欲しいと思った文章。
P121
学生たちはあまりにも目まぐるしく活動しているため、自分にとって何が大切なのか、自分はどういう方向に進むべきなのか、といった問いについて考える内省の時間が失われている
もう1つは真面目な大学生へ。
P123
「成績でAをとってほしくない、と母に言われているんです」とゴールドヒルは笑顔で言う。「それは私が大学生活を謳歌していないことになるからって」
小檜山 歩
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