3度目の戴冠で4度防衛したプリンセス・オブ・プリンセス王座を両国国技館大会で中島翔子に奪われた山下美優が両国以来初めての後楽園ホールでここでしか見れない戦いを見せた。相手は両国国技館大会でデビューしデビュー2戦目の長野じゅりあで初めてのシングルマッチとなった。両者とも流派は違うものの空手のバックボーンを持っていることから空手の技の攻防が予想されていたが予想を超えた攻防になった。
4分12秒のハードヒットのまばたきできない時間
東京女子プロレスの試合は握手をしてゴングが鳴った後は組み合ってスタンダードなグラウンドのせめぎ合いをすることが多いのだけどこの試合はそうはならなかった。お互いの蹴りを警戒して距離をとってフェイントをかけながら距離が近づいた先で山下がプロレスの経験を生かしたローキック中心の攻めで長野じゅりあの足を崩していった。長野もなんとか食らいつこうと空手の型を見せつつ、打撃をなんとか当てて得意技であるブラジリアンキックで勝機を見出そうとする中でも見切った山下がSkull Kickをバッチリ決めて3カウントを奪った。
試合時間は4分12秒で見ている人達は目を話すのが難しい緊張感が会場を包んでいた。男子ではいわゆるU系・ハードヒットと分類されるような試合で格闘技・打撃のベースを活かした戦いなのだけど、こんな試合を他の団体も含めた女子プロレスの試合で見た覚えがなく、ここでしか見れない試合を見せていた。お互いが空手で自らを高めたからこそ見せされる緊張感でこの試合だけでも価値があった大会だった。長野じゅりあは女優もやりながらのプロレス参戦ということもあってSKE48の荒井優希以上に限定参戦になっているのだけど、1つの色を見せることができるプロレスラーとしての魅力をすでに感じさせている。
山下実優はこれから東京女子のリングの上でいろんな色を見せていくのかもしれない
東京女子の強さの象徴として新しい大きな会場での試合を締めてきた山下実優がベルトを奪われたことでチャンピオンではできない様々な戦いを始めようとしていて、長野じゅりあ戦はそれの始まりだったのかもしれないと感じさせるぐらいの試合だった。
少し前に新日本プロレスでIWGPヘビー級戦線から一歩引いたオカダ・カズチカが様々な戦いの形を見せるためにKOPWというタイトルを作ったようにチャンピオンとして大会を締めるために高い壁となって他の所属選手を受け止めていた役割を中島翔子に渡して強さを見せながらもこれまでできなかった戦いを深い懐で見せていくのかもしれないと感じさせる第2試合目の山下の登場で、強さがありすぎてあんまり惹かれてこなかった山下実優を追いかけたくなる試合だった。
YES! WONDERLAND 2022~夢の翼を広げ~ | DDTプロレスリング公式サイト
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小檜山 歩
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