この大会唯一男女のシングルマッチとなった第3試合は路上プロレスをしていた高木三四郎や葛西純を見て憧れてプロレスラーになったハイパーミサヲと憧れの対象だった高木三四郎のシングルマッチ。ハイパーミサヲが高木三四郎に憧れていた頃はハチャメチャやっていて憧れだったのに、今となっては数字だけを気にするただの社長に成り下がってしまったというところからこのシングルマッチに繋がる。試合前にもTwitterでハイパーミサヲが想いを馳せていたところからもこの試合への思いを感じさせて期待が高まっていた。
やっぱり高木三四郎は大人げない大社長だった
確かにサイバーグループの一員となり、プロレス界の中で2番目に大きなグループを作り上げてきている高木三四郎は社長としての時間が多くなっているのかもしれない。でも、この試合の間だけは確かに大人げないプロレスラーとしての生き様を見せた。すでに52歳となり、メインイベンターとして戦うことは少なくなっている中でも高木三四郎はワールドを作り続けている。
この試合でも先に入場したハイパーミサヲに入場してこい!と言われた次の瞬間に流れた曲はなぜかハイパーミサヲの入場曲で、自分の入場曲に変わった瞬間に出てきた高木三四郎の姿はいつものコスチュームにハイパーミサヲのペイントをした不審者にしか見えない格好。でも、その瞬間、両国は盛り上がり、やってくれたという気持ちになったのは事実で、高木三四郎の枯れない自分らしいプロレスラー像だった。試合も相変わらずの大人気なさで女性だろうが一般人だろうが関係なく。攻撃を見せ、ハイパーミサヲには椅子攻撃まで見舞っていった。そんな高木三四郎はリングに上がると今でも見る者を惹きつける。
ハイパーミサヲが東京女子のぶっとび代表としてやりきった
ハイパーミサヲというレスラーも唯一無二の存在になりつつあることを感じさせた。確固たる技術がある中で、どの会場でも試合の前に「マイクくださーい!」と言って会場の「大きいちびっこたち」に向かってマイクアピールをした上で試合に臨む。高木三四郎や葛西純に憧れてプロレスラーになったことで他の人にはない姿を見せてくれている。この試合でも高木三四郎の大人気なさに負けずに両国国技館のゲートの上からのダイブ、得意のスプレー攻撃、椅子による築城をしたうえでの自転車クラッシュと高木三四郎オマージュの動きもありつつ自らの世界観をぶつけていった。
東京女子のぶっ飛び代表であるハイパーミサヲの世界は高木三四郎に勝るとも劣らない世界になり、2人にしかできない試合に仕上がっていった。
憧れに勝ったハイパーミサヲへのご褒美
ふざけているようなシーンもあるけど、これもプロレスでこれがハイパーミサヲのやりたかった1つのプロレスなのであろうおもちゃ箱のような試合はという間に時間が過ぎて、ハイパーミサヲがここまで頑張っていったご褒美のような3カウントを高木三四郎から奪って決着となった。
会場全体を巻き込む大きな試合となったし、入場から試合、マイクアピールまでが魅力的な2人だからこそ試合後もマイクアピール合戦が起こる。ハイパーミサヲが「やられた。出落ちだと思った」。そして、「あなたは私が憧れたピーターパンですね」と話せばハイパーミサヲがヒーローだと高木三四郎が話し、「みんなを幸せにするように」、「本物のヒーローになったんだ」と伝えるシーンは見ている人もなんだか分からない幸せな気持ちになるような試合のエピローグだった。
最後は自分の入場曲をかけて締めようとする高木三四郎の相変わらずの大人気なさも見せた上で、ハイパーミサヲがスタナーを決めて入場曲をひっくり返すところまで1つの完結した物語を見ているようで1つのプロレスの形として完成されていた。そんな試合だった。
YES! WONDERLAND 2022~夢の翼を広げ~ | DDTプロレスリング公式サイト
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小檜山 歩
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