アカデミー賞を取ったってことで話題になっていて見に行こうか迷ってましたがパートナーにも薦められて行ってみました。
映画を見たあとにウルフギャングという高級ステーキ屋さんでご飯をパートナーと食べてからクラシックのピアノを聴きに行くというシチュエーションも余計になにかを感じさせたのかもしれない。
中流家庭出身だと思っている自分は親のサポートもあって大学まで出てそこそこお金を頂けるようになった。反骨心が勉強するよりどころになっていた頃もあった。そんな30才の自分は半地下の家族に自分を重ねる。半地下まではいってないけどお金持ち側に投影することはない。しちゃいけないと勝手に思っている自分がいるだけなのかもしれないけど。
現実として大学に行けない人は今の日本でもいる。自分はそうでなかったから”くる”ものはそんなに強くなかったけど父親との関係は思春期の頃のぶつかり合いを思い出させた。才能によって唯一抜け出せそうだと思わせた人の結末もどこかありそうな終わり方。
ずる賢さでしか抜け出せない現実にならないように努力し続けることが階級におもねながらも歯向かおうと勝手に思っている自分のこれからだと再確認しつつ、こんな現実があって自分がどう向き合うのかを考えない訳にはいかないと思わせる力があった。
前半と後半で分けて話す人が多いように感じるんだけど、分けて考えられるもんでもない。ずる賢さとズルがもたらす危うさと帰結はさもありなんで予想できる結末から外れてほしいと感じさせるけど、どこかそうなってほしい気持ちもある。努力すればなんとかなるのになんともしないように映る部分とどうにかするのが難しい現実が混じっている。
欧米ではよく描かれる階級をアジア、韓国という場の形で描いたことに新鮮味を感じる。日本にこのジャンルの名作はあるだろうか。正直、心当たりがない。タイにも確かにある階級を描いた「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」にも重なるものがある。
ウルフギャングでは3人の子どもを連れた家族が来てた。自分はこんなステーキ屋さんには今の仕事をするまでは来れなかったことを感じながらステーキを食べる。美味しかったんだけど、複雑な味がしたように感じた。
【気になった人】
ソン・ガンホ:ここまであのお父さんを演じられるのはすごい。
パク・ソダム:あの状況に置かれる女性として居そうなのに、美しさとかわいさも。
【オススメ度】
★★★★★
小檜山 歩
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