将来の夢って年を重ねるごとに聞かれなくなりますよね。
小学生の頃は野球選手と答えていて、親も先生も周りも大人は頑張れって言ってくれていた。でも、中学生になる頃には将来の夢を聞かれることも少なくなり、私たちも夢は現実的なものに変わっていった。「野球選手になれるといいね」から「普通に仕事をしてくれればいい」と言うようになった。
そんな大人と子供の狭間の物語、「彷徨シグナル」(和足 冴)が一番のお気に入りなんだけど、盛りだくさん過ぎなんすよね。まあ、厚みがあっても持ち運びに問題がない電子書籍ならではの雑誌といったところでしょうか。
Amazonの推定だと、428ページにもなるようです。かなり有名どころのミステリー作家の書下ろしミステリーをまとめた「総力特集 ミステリー2013」と「「新人発掘プロジェクト」第一期全員競作!」の2本の柱。最初にご紹介した、「彷徨シグナル」は後半の最後の作品です。
他にもミステリー小説を擬人化した「よちよちミステリー部 「東西ミステリーベスト100」の世界を味わいつくす!」(久世番子)に人一人殺したら死刑になる世界の可能性を描いた「レミングの群れ ハーシュソサエティ」(貫井徳郎)がおススメです。
「新人発掘プロジェクト」のほうがとんがってますね。ひたすらオナニーについて書いたものもあったし。んー。ってのもあったけど、おススメです。
【引用】
ラジオに頼るようになった。 掌に収まる小箱は無限の宇宙だった。笑いがありエスプリに富み音楽があり智慧を授けてくれ世界の今と昔と未来を教えてくれ、そこにはDJの日常に足りないものすべてが詰まっていた。
そうだ。そういえば、いつの間にか大人はわたしたちに「将来の夢は?」と聞かなくなっていた。代わりに「将来はどんな仕事がしたいの?」とか「卒業後はどうするつもり?」という質問をするようになった。 そしてその「将来」は、そんな言葉でごまかせるほど遠い未来ではなくて、ぼんやりしていたらあっという間にたどり着いてしまうほど、すぐそこまで迫っている。子供でいられる時間も、この当たり前の毎日も、終わりの瞬間はもうすぐやってくる。
ずっと、自分はまだ子供だと思っていた。まだ大人じゃない。大人になるのは、ずっと先のことだと思っていた。だけど違った。わたしはいつの間にか高校生になっていた。子供のわたしは少しずつ遠ざかって、同じスピードで大人のわたしが近づいてくる。イチヨウも、ショータも、それは同じだった。
【手に入れたきっかけ】
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小檜山 歩
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