特撮美術の大御所である井上泰幸さんの生誕100年を記念した展示会があり、特撮はあまり興味がなくて見てこなかったけど気になって行ってみたら面白かったですわ。
特撮について井上さんが語っている文章が前半にあり、特撮美術とは「文字のイメージを具現化するためのツール」だと語られていて、実際に福岡の街を再現する場合は福岡の現地に行って測量し、設計図を起こした上で撮影する時の仕掛けも含めて組み込んだ上で作り上げていくということが分かる。模型ではなくて実際に物を作り場所を再現していくという過程を感じることができるのが面白い。
実際のミニチュアはゴジラなどに壊されてしまっているので設計書や模型が展示の中心なのだけど、それでも作り込みの細かさに驚かされる。怪獣ものだけでなく、社会を描いた「日本沈没」などにも参加しており、ミニチュアなのだろうけど、実際のものが流されているというシーンは臨場感を感じさせる。
水槽の中に絵の具を垂らして火山の噴火を再現するドキュメンタリーと円谷英二監督の元で働いていた際を思い返すインタビューは見応えがあって展示会での映像をあんまり最後まで見ない自分でもがっつり見てしまった。
ここまで来るとセットを見てみたいと思う人の要望をわかっているように最後の方の部屋には「空の大怪獣ラドン」(1956)という作品で再現した福岡・岩田屋のミニチュアセットが再現されており、これの何倍の大きさの物を作り上げ仕掛けを作っていくという途方もない作業へのこだわりを感じさせてくれた。



特撮好きにはたまらない展示なのかもだし、そうでなくても映画の歴史に欠かせない特撮美術を感じることができる内容でした。
井上泰幸展 | 展覧会 | 東京都現代美術館|MUSEUM OF CONTEMPORARY ART TOKYO
小檜山 歩
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