男色ディーノ選手の涙に始まりプロレスを突き詰めた2人の極上プロレス[KO-D無差別級選手権試合秋山準VS男色ディーノ]

ひとつのプロレスの形を見せつけてくれた。その中心にいたのは間違いなく男色ディーノ選手であり、男色ディーノ選手だからこそ作れたものがこの日の後楽園ホールのメインイベントだった。

全日本プロレスで育ち、NOAHの中心選手から全日本プロレスに戻って社長にまでなった秋山準選手が新しいリングとして選んだのはDDTであり、一気にKO-D無差別級選手権のチャンピオンにまで上り詰めた直後に所属になった。

煽りVがたまらない

文化祭プロレスから始まったDDTは今やサイバーエージェントのグループ会社となりプロレス界のトップを目指している。そんな中で団体に格をもたらすことができる存在としての秋山準を男色ディーノは認めていた。

二人がお互いに対して話していくインタビューの煽りVが名作だった。歴史と力のある団体ではないDDTに乗り込んできた秋山準を漫画の世界に例え、子供にも胸を張って見せることができるワンピースやドラゴンボールに例えた一方で、自分を大人が子供に見せたくはないけど子供が引かれるような漫画である漫☆画太郎先生の『珍遊記』に例える。男色ディーノをDDTのアイコンとして認める秋山準とこれまで学生プロレスからで培ってきたものをプロレスのど真ん中を歩いてきた秋山準にぶつけるという気持ちを語る男色ディーノの姿に不覚にも入場前に涙が出てきてしまった。

男ガウンと七色のふんどしで入場

青コーナーから入場した男色ディーノ選手はリング前でリングを見つめながら気合を入れた表情を経て後楽園ホールのリングの周りを一周する。確かではないが、目に涙を浮かべていたようにも映る。少し感傷に浸っていたのかもしれないがリングにあがると客席全体に中指を立てた上で気合の入った表情でコーナーで秋山準の入場を待つ。なんとも言えない気合の入りようを感じさせる。豪華なガウンの下には七色のふんどしであり、気合が伝わってくる。

いきなりのゲイ道クラッチで勝負を狙うも難しい中で場外戦へとなだれ込む。大石真翔やマッスル坂井などもリングの周りで声をかける中、力強い技を繰り出す秋山選手に対して硬軟と男色殺法を織り交ぜて対抗していく男色ディーノ選手。秋山準選手も断崖式のニードロップなど厳しい責めを繰り出していた。審判を一時退場に追い込んだ後の大石選手へのマイクでの加勢の呼びかけも男色ディーノ選手らしくDDTらしさを持っていた。

秋山選手の膝に苦しめられながらも大勝負でしか出さない男色殺法の連続に後楽園ホールにまさかの展開を期待させる。男色ドライバーのキレもピカイチでこの日、いくつかのバリエーションで出した全てのタイミングで後楽園ホールが1つになっていた。

試合中のVTRをメインイベントで

なんとか食らいついていながらも秋山選手の厳しい攻めに押され気味になってきた中で降り出したのがDDTが作り上げてきた試合中のVTRということでだ男色ディーノ選手が秋山選手への熱いメッセージを送ったと思えば時間稼ぎだったというオチからの全裸での男色殺法へと進んでいく。全裸でのムーンサルトはフォームの美しさもさることながらも見えないようにしているすごさもあった。最後は中指を立て続けた中で秋山選手の膝を受け止めた上で股間を握られた中でのエクスプロイダーで3カウントを取られてしまった。

男色殺法とDDT殺法を惜しみなく出したうえでの玉砕は男色ディーノ選手にしかできない試合であり、後楽園ホールの主役が一人の文化系レスラーだった試合だった。男色殺法を受け止めた秋山選手のすごさももちろんのことながら、男色ディーノ選手の生き様を見せつけられて心が熱くなった試合だった。

次の挑戦者はDDTの強さのアイコンとしてここまでやってきたHARASHIMA選手であり、新しい取り組みであるサイバーエージェントグループのプロレス団体が一同に介するさいたまスーパーアリーナ大会が舞台になる。チケットを買っていることもあって楽しみだと思いつつ、この日は男色ディーノ選手を見に来た人たちで後楽園ホールはコロナ下での札止めになり、その価値があった男色ディーノのメインイベントだった。