人は生まれながらに罪を背負って生まれてくる。それをキリストは背負ってくれる。
キリスト教では当たり前に信じられているこの論理を「んなわけあるか!」とローマ帝国がまだ存在している時代にローマのど真ん中で一蹴した男がいた。
男の名はペラギウス。この物語のタイトルにも使われている男の名で、今のキリスト教の考え方に相反するかもしれないけど、人間の可能性を語った男。
学校で習った単語としてはローマ包囲が起こり、ゴート族が歴史の中に出てきた頃の物語ってこと。テルマエ・ロマエの阿部寛のような顔立ちで肌が白い男を想像しつつローマ帝国の雰囲気が漂う描写で時代を感じさせてくれる。
たまにはタイムスリップして場所も飛んでみるのも悪くない。歴史のメインで活躍した男(アウグスティヌス)の裏で1人の男が人間味集める自らの意見を発信し、それなりの人に信じられつつも迫害された事実は何か今に通じているような気がしてくる。
歴史を元にしたフィクションだけど、ペラギウスは存在し、異端排斥運動は本当にあったので、そのことを考えるときにもためになる。ローマエンタメとしても教養としても楽しめる1冊。
【引用】
「断じて、われわれは生まれながらにして罪に呪われた存在ではありません」ペラギウスはつづけた。「われわれは善と悪とを自由に選べる存在として創られました。蜂や魚のように生きるより、選択しながら、自由に善を選びとりながら生きることのほうが、どれほど偉大でしょう。人間は毎朝目ざめるたびに、その一日を自分の医師でつかむことができるのです。動物的な肉欲や本能の横暴の中に閉じ込められることなく、畏れ多いほどの自由の中で目ざめるのです。偉大なことをなしうる自由の中で…」
ペラギウスが人間について語った一節。これがペラギウスの思想を表してる。
【手に入れたきっかけ】
「本が好き!」というWEBサービスの献本キャンペーン!
【オススメ度】
★★★★☆
小檜山 歩
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