確かにポンと1000万は出てくる。でも、そんな小さなことよりも大きな、たくさんのことがこの本には詰まっている。
この本が発売された時にはまだ、前職のITベンチャーにいた頃で、社内でもそれなりに話題になった一冊。
4人ぐらいが即買いして、読んでいたような気がする。
読んでいい本だなぁ、と思っていた頃、こんな趣旨の書評を見つけた。
この本は中小企業の社長からすると、経営本でも何でもない。ポンと個人の財布から1000万出てくるし、起業前から出てくる名前が大物ばっかりだし、お気楽にダイエット対決とかやってるし、みたいな内容だった。
確かにマッキンゼーでパートナーにまでなった南場さんだから出来た事もあるだろうし、資金繰りで苦労することが多々ある中小企業の経営者として、ポンと個人の財布から1000万が出てきたり、経営陣が3人であっさりと5000マンを出せるような状態は有り得ないのかもしれない。経営をしたことのない自分にとって、そのような批判を否定することは出来ない。
ただ、その批判内容以上に、この本にはいろんなものが詰まっていて、ワクワク出来るいい本だということは声を大にして言いたい。DeNAというメガベンチャーが出来上がっていく過程を読みやすいものにしていることに大きな価値があると思うのです。
ITベンチャーで働くことについて、BtoCサービスを提供するシステムを持っていることについて、人材をどう考えるのかについて、コンサルタントと事業会社についてなど、幅広い範囲で自分の仕事に関する話が出てきたからこそ、惹きつけられたのかもしれない。
そして、何よりもDeNAで働いてきたバラエティ豊かなキャラクターの人たちの生き生きとした描写が仕事に対して嫌味なく、ポジティブな気持ちにさせてくれる。
確かに1000万がポンと出てくる経営だけど、もっと沢山のことがつまっているドンとくる本なのです。
【引用】
世の中のほぼすべての人が知っている「言うのとやるのでは大違い」というのを、年収数千万のコンサルタントだけはうっかりする
システム担当は開発にかかる数千万の重みを痛感し、効率的なシステムの設計に血道をあげ、調達担当は必死の覚悟で値切る
意思決定については、緊急でない事案も含め、「継続討議」にしないということが極めて重要
もし将来起業することを知っていたら、コンサルティング会社ではなく、事業会社で修業したかった
優秀なコンサルタントは、間違った提案をしても死なない立場にいるからこそ価値のあるアドバイスができる
自分の「成長」への意識はしかし、ほどほどなほうがよいと考える。学生が自分の成長を重要なポイントとして就職先を選ぶことはうなずけるが、入社してからも「成長」オタクのようぬ成長、成長と言う人は少し変だ。成長はあくまで結果である。給料をとりながらプロとして職場についた以上、自分の成長に意識を集中するのではなく、仕事に向き合って欲しい。それが社会人の責任だ。
採用にぴて、まったく同じ実力の男性と女性がいたらどちらを選ぶかと訊かれたこともあるが、まったく同じ実力のふたりなどいるはずもない
斜に構える、というのは未熟な子どものやることだ。
あと10年もすれば、組織に属して仕事をするスタイルは主流ではなくなるだろう。目的単位でプロジェクトチームが組成され、また解散するような仕事の仕方に変わっていくはず
【手に入れたきっかけ】
発売された時に前職のITベンチャーで話題になったので即買い!
小檜山 歩
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