人が折れる瞬間をここまで克明に描くことができるのか『アオアシ(19)』(小林有吾)

船橋学院との闘いの中でなにかを「つかむ」目の前まで来ていると感じている葦人は自分に対して「つかめ、つかめ、つかめ」とプレシャーをかけていく。このプレッシャーの時に何かをつかむこともあるのかもしれないが、現実は厳しくはねのける。

そうすれば、福田、君の勝ちだった。だが、残念。今日ではなかったな。

上に行けると思うほど、それが打ち破られたときのショックの大きさは計り知れないものがある。そんな人が折れる瞬間を細かく描き、読者も引きずり込むストーリーに仕上がっていた。仕事でも、自分がいい感じになってきていると思っている中で大きな壁にぶち当たる時がある。

その時にもうやめてしまおうかと思う時もあるのかもしれないけど、「でも、いつか」同じ壁にチャレンジする時を待てばいいと思えばいいと思える心が必要なんだろう。若く、スポーツという寿命が短い世界で戦うからこそ、葦人が立ち直ることができるのかを本当に心配してしまう船橋学院戦の中盤戦だった。

船橋学院の物語にも日本のスポーツ界が与える問題が現れてくる。”日本人のチーム”であるべきというちょっとした一言がチームを団結させた。トリポネというエースストライカーがチームの中で覚醒したきっかけが語られるのだけど、未だにこんなことがあるんだろうと感じるし、子どものスポーツという世界の中だからこそ起きやすいのだろう。

大人としてそれを助長する立場には絶対になるべきではないし、船橋学院の監督の教育者としての言葉を伝えられる人でありたいと感じさせた。

【手に入れたきっかけ】

後輩に勧められて読んでいるマンガ

【オススメ度】

★★★★★

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小檜山 歩

コンサルタント日系総合コンサルティングファーム
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。
小檜山 歩
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。