【ポイント】
1、7つの人と人の物語
2,じっくり読むもよし、サッと読むもよし。
3,自分なりタイトルは「天国のベル」、もしくは「人ってそんなに悪くない」
そこまでがんばらなくてもいい。ほどほどで人は幸せになれる。そんなことを気付かせてくれる短篇集。
友人、夫婦、親子、歳の差、いろんなテーマが入っている良質な短篇集。
7つの短篇集で構成されていて、「約束」は1つ目の短編。ある事件への作者なりの鎮魂歌らしい。
2つ目の「青いエグジット」は障害を持った子どもと親の関係を少し踏み込んで描いています。ただの頑張っている障害者の物語にしないことに好感が持てる。スキューバダイビングをやっている人には更に共感が大きいかもしれない。
3つめは置いておいて4つ目。「冬のライダー」。恋愛物のようでそうでないような、不思議な話。
5つ目は「夕日へ続く道」。やる気の出ない中学生や高校生に読んで欲しい1編。大人って少しはましだし、子どもは少しがんばらないと、と思えるおじちゃんと中学生の話。
「ひとり桜」は恋愛物。Hな部分もあるけど、35歳ぐらいにこんな恋愛をするのもいいかな。
最後の「ハートストーン」はこれこそ、ザ・物語といえる、ハート型の石にまつわる話。どこかで聞いたような話。でも、そんな話を真正面から描いている著者の心が物語に引きこませる。
そして、置いておいた3つ目の「天国のベル」。この1冊の中で一番のお気に入り。闇の中の光。いつも張り詰めている母親と死んでしまった夫とその子どもの話。張り詰めている母親へのある人からのメッセージがいい。「あっ、すごい…」とメモした自分がいました。
だから、この短編集のタイトルは「天国のベル」にして欲しい。この3つ目の物語に惚れてしまい、☆5つ。
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小檜山 歩
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