余韻が爽やかに残り続けた”幸せな”大会。興行として完璧だったのでは… 「GRAND PRINCESS '22」まとめ

2022年に単体で両国国技館大会を実施している団体は東京女子とスターダムだけということもあってDDTのオマケではなくて女子プロレス団体として大きくなってきている。

このところプロレス団体の中では一番推している団体の両国国技館初進出ということでワクワクが止まらない中での大会。サイバーグループであり、DDTと繋がりが強いこともあってどんな演出を見せてくれるのかということも期待があった大会だった。それぞれの試合は魅力たっぷりで全試合についてメモを書いたので、読んでいただけると幸いです。

長野じゅりあのデビューをありすずが爽やかに受け止めた東女初の両国国技館オープニングマッチ東京女子プロレス「GRAND PRINCESS ’22」鈴芽、遠藤有栖 VS 宮本もか、長野じゅりあ

やりたいことをぶつけ合った先に光るやりとりが生まれる団体対抗戦もいい東京女子プロレス「GRAND PRINCESS ’22」角田奈穂、桐生真弥、猫はるな、鳥喰かや VS まなせゆうな、春日萌花、HARUKAZE、YuuRI

高木三四郎とハイパーミサヲの一夜限りのワン・ナイト・ショー東京女子プロレス「GRAND PRINCESS ’22」エニウェアフォールマッチ高木三四郎 VS ハイパーミサヲ

VENYUのシングルは真っ直ぐカラっと清々しく東京女子プロレス「GRAND PRINCESS ’22」上福ゆき VS 朱崇花

爆れつシスターズは最後まで明るく、真っ直ぐ、仲良く！東京女子プロレス「GRAND PRINCESS ’22」天満のどか VS 愛野ユキ

NEO美威獅鬼軍フルメンバーは本物で小橋マリカへの手向けに東京女子プロレス「GRAND PRINCESS ’22」沙希様、メイ・サン＝ミッシェル、マーサ、ユキオ・サン＝ローラン VS 小橋マリカ、らく、原宿ぽむ、ラム会長

竹刀とパイプ椅子がぶつけられた先に未来がヒカル東京女子プロレス「GRAND PRINCESS ’22」志田光 VS 乃蒼ヒカリ

荒井優希の今を引き出して、伊藤麻希がタイトルマッチをやりきった東京女子プロレス「GRAND PRINCESS ’22」インターナショナル・プリンセス選手権試合伊藤麻希 VS 荒井優希

非日常の入場とこれまでの戦いの積み重ねが弾けた2組のタッグ東京女子プロレス「GRAND PRINCESS ’22」プリンセスタッグ選手権試合坂崎ユカ、瑞希 VS 辰巳リカ、渡辺未詩

中島翔子が超えていった。弱さを見せられるチャンピオンもいいじゃないか東京女子プロレス「GRAND PRINCESS ’22」プリンセス・オブ・プリンセス選手権試合山下実優 VS 中島翔子

このエントリでは大会全体についてまとめてみます。

興行全体としてここまで完璧な大会は初めてだったかもしれない…

DDTの良さも生かされた東京女子の大会だった。DDTのビックマッチに行くと他の団体のビックマッチと同じ時間であってもいい気分で疲れずにメインまで見ることができる。煽りVだったり昔ながらのプロレスっぽくない演出で見る人がずっと力を入れて見る必要がないように工夫されている。

リング上の戦いもそれぞれ違った色を見せる上、セミファイナルにタッグマッチを入れるという対戦カードの妙もあるのかもしれない。ずっとモリモリのシングルマッチを見ているとステーキを食べているような感覚になって疲れてしまうのだけど、タッグマッチを挟んで目を散らすことでステーキの間にあっさりとしたお吸い物を飲んでいるような感覚になる。

プロレスは戦いながらいい試合を見せて演出であったり観客への気遣いは必要ないという意見もあるのかもしれないけど、DDTグループが大きくなってきたように昔ながらにこだわりすぎないことの大切さも感じさせる。試合のメリハリだったりカードの妙も感じさせつつ、一方向を消して写真映えするようなライトを埋め込んでいる大きなボードはこれまで見た両国国技館大会の中で一番いいなぁと思える照明になっていた。

もちろん、一方向を消すということは満員にはならないという規模もあって、全方向にお客さんを入れてもそこまで空席が目立たないような団体との違いはあるのかもしれない。でも、お客さん入っていないからそのままにするのではなくて演出を豪華にして来た人を満足させようとする心意気を感じさせてくれたし、実際に写真映えするのはうれしかった。

タイトルマッチ全てが結果が読めないと感じた大会は珍しい

プロレスを見始めてから既に20年弱が経っていると、穿った見方をしてこの試合はこの人が負けるだろうとか試合の流れを見ていてここで決着ついてしまうだろうと思ってしまうことがある。プロレスファンを長く続けていると仕方ないことだし、その予想は裏切られた時の嬉しさはあるのだけどほぼ全ての試合は予想通りに決まってしまうとちょっと悲しくなる。

東京女子という団体の大会に足繁く通っていることで選手それぞれに対する思い入れが強くなってどっちが勝つかわからないと思うようになっていたのかもしれない。でも、自分自身として3試合の全てのタイトルマッチでどっちが勝つのかがわからないと感じられた大会で楽しめた。インターナショナル・プリンセス王座は流石に伊藤麻希が勝つんだろうなと思いつつも試合の流れを見ていると荒井優希が勝つことも全然あり得ると思ってしまったので自分が乗りすぎていたかもしれないけど、そんなワクワク感があった。

9年間の全てを出し切ってくれた。出し惜しみせず。

全てを出し切った興行だと感じて、大会が終わって2週間以上が経った今でも大会の映像を何度も見返してしまう。そんな大会は珍しい。プロレスは終わりなき戦いだからこそ、次の布石としていろんな伏線を打ったりすることが多いし、ここではこの程度にしておこうとしたり、次に繋がるような伏線をビッグマッチでも置いたりすることが多い。伏線によってこれからも見たいと思う時もあるのだけど大会自体でスッキリすることは減ってしまう。

でも、今回の大会は今見せられるものを全て出した上で次に何が起こるのかはこの大会では置いておくような印象を受けてこの両国国技館に全てを出し切ったように感じさせる大会だった。箱推しの団体だし、ずっと見ていたからこそのご褒美の感覚なのかもしれないけどそれだけいい大会だった。また、大田区大会も開かれるようなので、興味を持った人はここからでも東京女子をぜひ、見てほしいと改めて思った大会でした。