二人の物語が愛しく透き通って完結『ランウェイで笑って(22)』(猪ノ谷言葉)

世界一のデザイナーと世界一のモデルになると物語の最初で宣言されて始まった物語が完結を迎えた。都村 育人(つむら いくと)と藤戸 千雪(ふじと ちゆき)の二人の物語はそれぞれ独立しているのだけど関わってもいる。それが人の人生なんだろう。読み終わったところではファッション業界に全く関わっていない自分であってもこんな人生が自分にもあるのかもしれないと感じさせるような気持ちになっていた。

世界一のモデルになるはずの千雪が部長でありどうにもならない中で育人が独立して初めての大勝負に挑む。どうなるのか。大勝負であり、この物語の中での最後のファッションショーは物語の全てがふりふられたような空間になっていた。

一滴残らずと言っても過言ではないぐらいこれまでの積み重ねが大きな輝きとなって押し寄せてきた。ページをめくる手が止まらないのだけど、もっとゆっくり味わいたいという気持ちが混じり合った時間だった。一滴残らずと思っていたけど、物語の最後には一滴残っていた。その一滴が何かは選んで確かめて欲しいのだけど、その一滴は透き通っていて心地よさを感じる一滴になっていた。 

後輩から紹介されて読んでみて面白くなって買い続けてきた物語の関係ということで悲しいと思いつつ、いい物語を読ませてもらったと感じる作品でした。

【オススメ度】

★★★★★

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小檜山 歩

コンサルタント日系総合コンサルティングファーム
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。
小檜山 歩
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。