雨と涙の美しさと弾けるラスト。手元に置いておきたくなる美しきアニメ「言の葉の庭」【DVD】

雨と涙の美しさと弾けるラスト。

少しずつ重なっていた想いが貯めこまれて最後に弾ける。

ムダに間延びしない46分のアニメ映画の良さを噛みしめるラスト。

今の社会で靴職人を目指すタカオは雨が降った時には1限をサボることにしている高校生。梅雨に入った頃にいつものように雨の中で1限をサボっていつもの公園のいつもの場所へ。

どこの公園にもありそうな木で出来た間が開いていて屋根が合って入り口以外の三方が木のベンチになっている場所。

ある日、見たことのない少し年上の女性がいてビールを飲みながらチョコレートを食べている。気になって声をかけて少し話すと1つの短歌が投げかけられる。

また、次の雨の日も同じ場所で出会い、誰だか分からないけど会話が少しずつ弾んでいく。そんな先にあるお話。

最後の長台詞はとっても良かったのでご紹介（少しネタバレになるかもなのでご注意）。

イヤな人でした。朝っぱらからビール飲んで、訳の分からない短歌なんかふっかけてきて自分のことは何も離さないくせに人の話ばっか聞きだして、俺のこと生徒だって知ってたんですよね？汚いですよそんなのって。

あんたが教師だって知ってたら俺は靴のことなんてしゃべらなかった。どうせできっこない。叶いっこないって思われるから。どうしてあんたはそう言わなかったんですか。子どもの言うことだって適当に付き合えばいいって思ってた？

俺が何かに誰かに憧れたってそんなの届きっこない叶うわけないってあんたは最初から分かってたんだ。だったらちゃんと言ってくれよ。邪魔だって、ガキは学校に行けって。俺のこと嫌いだって。あんたは……あんたは大事な言葉は絶対に言わないで、自分は関係ないって顔して、ずっと一人で生きてくんだ！

大事な相手には大事な事を言ってほしいよなぁ。女性の声優はPSYCHO-PASSで常守朱を演じた花澤香菜でそれが余計に入ってきた。

この物語で鍵になる水と涙の描写の美しさにも息を飲んでしまった。子どもが出来て少し大人になったら見せたい。手元に置いておきたくなる美しきアニメ。