読んでて息苦しくなる。学校でのイジメが正確に描かれている。子どもの頃の出来事は心のなかに残る。イジメていた事実は心のササクレとして大人になっても残る。
もし、昔イジメていた相手が目の前に現れたら自分はどうすればいいのか。ハッキリとした答えがない。
ただ、イジメをするのは子どもだけじゃない。大人、先生も加担する。そして、先生は無責任だ。
もちろん、イジメをする子どもに問題はある。それ以上に学校という不思議な空間がイジメを生む。小学校から高校までイジメを目の当たりにしてきた。自分がイジメをする側になったこともあるし、イジメられる側になったこともある。
イジメられたことを正当化することもないし、イジメたことを開き直るわけではない。ただ、イジメられたことはよく分からないモヤモヤとして心のどこかに残っていて、イジメたことは心のササクレとして引っかかっている。普段はどちらも見えないつもりでいることができる。
でも、きっかけがあれば目の前に現れる。学生時代に置いてきたはずの過去を突き刺してえぐってくるマンガ。イジメを目にしない学生生活なんて無い。
毎日が退屈に思える小学六年生、石田将也はクラスメイトと度胸試しなどをして毎日を過ごしていた。ただ、そんなクラスメイトとの関係も少しずつ変わっていく。クラスメイトは大人の階段を登っているのかもしれない。度胸試しよりも塾に行くようになる。
何かが身の回りで変わり始めているある日、耳が聞こえない転校生、二宮硝子が転校生としてクラスにやってきた。耳が聞こえない障がいはクラスに様々な事をもたらした。クラスが変わり、”イジメらしきもの”に将也も加担しながら、変な空気を感じる。
ある事をきっかけにクラスが変わる。
いや、クラスはいつも通りなのかもしれないけど、将也と周りの関係性がハッキリと変わった。それから将也の周りで何かが変わった。そして、確かめられないけど、確かめたいことが心の奥のササクレとして将也の中に残り始めた。
将也はササクレを自分の手で剥がそうと試みる。まだ、物語は始まったばかり。子どもの頃の世界はいくつになっても自分の心とつながっているから。
それなりに一人で生きることが出来るようになったらイジメは無関心に変わり、自分の世界が決まってくる。ふと思う。大人の世界は子どもの世界よりも厳しいのかもしれない。いや、楽なのかもしれない。
子どもの世界、学校は関わりたくない人たちとも無理やり40人一緒くたにされて上下関係なく、一緒に過ごさないといけない。見返りはない。ものすごく難しい環境。
大人の世界、会社は一つの空間に40人一緒くたにされることは少ない。それぞれがやっていることも違うし、上下関係もある。一応、金銭という見返りもある。
どっちが厳しい環境なんだろう。
【キーワード】
中学
西宮硝子
石田将也
当り障りのない先生
仕方の無いこと
手話
170万
自己責任
人格者風
アピール
【引用】
俺が一番知りたいことはどうすれば退屈でなくなるかだ
耳が聞こえません
死ぬならさっさとやり残したことを片づけよう
【手に入れたきっかけ】
タイトルは「荻上チキ Session22」で知っていた。そんな中、Kindleキャンペーンでセールをしていたので購入。
【オススメ度】
★★★★★
小檜山 歩
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